いきなりエース&主軸級の活躍期待も! 今季のNPBルーキー「即戦力度ランキングトップ5」
■セ・リーグ2位:中村優斗(愛知工業大→ヤクルト1位・投手) ■パ・リーグ2位:渡部聖弥(大阪商業大→西武2位・三塁手兼外野手) ヤクルトが単独指名狙いで見事に獲得に成功したのが中村だ。ストレートはコンスタントに155キロ前後をマークし、スピードに関しては間違いなくアマチュア全体でもナンバーワンだ。これだけのスピードがありながら制球力も高く、スライダー、フォークも三振を奪えるだけの威力がある。リーグ戦通算成績も16勝18敗と負け越しており、フィールディングや牽制などの投げる以外のプレーと投球術が課題だが、ボール自体は一級品だ。投手が手薄なヤクルトであれば、貯金を作るのは難しくても先発としてかなりのイニングを投げる可能性は高いだろう。 渡部は2位ながら全体13番目の指名ということからも分かるように、早くから注目を集めていた大学球界屈指の強打者だ。関西六大学リーグで2年秋にリーグ記録となるシーズン5本塁打を放ち、通算でもタイ記録となる119安打をマーク。全国大会でも4割を大きく超える打率を残した。たくましい体格で広角に長打を放つ打撃は確実性と長打力を兼ね備えており、脚力と肩の強さも一級品だ。本職は外野手だが、4年秋にはサードでも安定したプレーを見せている。西武は打線の弱さが大きな課題であり、チームの期待も大きい。他の選手次第ではいきなり中軸を任せられる可能性もありそうだ。 ■セ・リーグ1位:金丸夢斗(関西大→中日1位・投手) ■パ・リーグ1位:宗山塁(明治大→楽天1位・遊撃手) 1位はやはり投手と野手の一番人気となった2人となるだろう。金丸はリーグ戦通算20勝3敗、防御率0.83という数字が示すようにその安定感は圧倒的なものがある。特に素晴らしいのが高い制球力で、腕を振って145キロを超えるストレートをコーナーいっぱいに投げ込み、変化球も低めにしっかり集める。その完成度は近年の大学生でもナンバーワンと言える存在で、2024年にパ・リーグ新人王に輝いた武内夏暉(西武)と比べても大学時点の総合力は間違いなく上だ。4年春に痛めた腰の状態は不安要素だが、コンディションさえ問題なければ1年目から二桁勝利も十分に期待できる。 一方の宗山も大学生のショートとしては鳥谷敬(元阪神、ロッテ)以来と言われる存在だ。まず大きな武器となっているのが守備の安定感。柔らかいハンドリングでバウンドを合わせるフットワークも素晴らしく、深い位置からファーストへ強い送球ができる肩の強さも申し分ない。大学でも度々その守備でチームを救った。また打撃に関してもリーグ戦通算118安打、10本塁打、打率.344という数字が示すように大学球界では間違いなくトップクラスだ。球団としても次代のスターは必要不可欠だけに、1年目からショートとして抜擢する可能性は極めて高いだろう。(文・西尾典文) 西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
西尾典文