炎上寸前、ガードレール衝突の車から男性救助 宝塚市の3人表彰 車は全焼「1分遅れていたら…」
炎上寸前の事故車両から高齢男性を救助したとして、兵庫県宝塚市の男性ら3人に、県の善行賞「のじぎく賞」と同市消防長の感謝状が贈られた。車内に煙が充満する中、「考える前に体が自然と動いていた」という迅速な行動が功を奏した。宝塚署長と同市消防長から賞状が手渡された。(冨田佳久) 【写真】炎上する車から母子4人を救出 家族で連携、割れた窓から抱き上げる ■「何も見えず、シートベルト外れなくて困った」 表彰されたのは、川西市の建築業赤塚雅之さん(45)、宝塚市の造園業寺田彰さん(71)、同市の看護師大宮沙織さん(34)。11月11日午後2時45分ごろ、同市山手台東の市道で、ガードレールに衝突した車から、負傷した70代男性を救出し、連携して消防へ通報するなどの救助活動を行った。 事故車両のすぐ後ろを走っていた赤塚さんは、1番に車に駆け寄って運転席のドアを開けた。「火が出ているようだったので、やらなくてはと思った」という。救助に加わった寺田さんは「車の中が真っ白で何も見えなかった。シートベルトが外れなくて困った」と振り返った。2人で男性を抱えて車から出し、15メートルほど離れた安全な場所まで運んだ。 大宮さんは事故車両の2台後ろだった。「助けなきゃ」と思って外に出て119番した。「電話している時に車から火が出て驚いた」という。車に残された長女の奈々さん(6)は、目の前の事故や火災が怖くて泣いていたという。 同署などによると、現場は下り坂のカーブで、車は全焼だったが、男性の命に別条はなかった。赤塚さんは「助け出せてよかった」、寺田さんは「1分遅れていたら危なかった」、大宮さんは「みんなで協力できて良かった」と互いの労をねぎらった。 髙橋康宏消防長は「人を助けたいという思いがないと、事故現場では動けない」と話し、石井克央宝塚署長は「ちゅうちょなく救助に取り組んだことがドライバーの命を救った」と3人の勇気ある行動をたたえた。