うちの会社、いくらで売却できる?オーナー経営者が「好条件」でM&Aするための“株式評価手法”【専門家が解説】
価格は最終的に買い手との取引で決まる
本稿で見てきたとおり、株式価値評価手法にはいくつかパターンがあります。そのなかでも、仲介サービスで広く活用されている年倍法は論拠に乏しく、買い手が行う価値評価手法とも異なるという大きな問題があるということをお伝えしました。 本稿においてはマルチプル法、DCF法といった買い手が採用する株式価値評価手法も紹介しましたが、価格は最終的に市場が決めるということ、つまり買い手との取引で決まるということは覚えておきましょう。 買い手からより良い条件を勝ち取るためには、買い手候補企業の間の競争環境を醸成し、良い条件を提案してもらえるかがポイントです。A社のケースで見てきたように、買い手に対する戦略的な情報開示も重要です。事業売却を成功に導くためには、売り手オーナーのメリットを考えて売却活動を支援してくれるFAを起用することが有効な選択肢となることは覚えておいてもらえればと思います。 作田 隆吉 オーナーズ株式会社 代表取締役社長
作田 隆吉