新型コロナが中国から西欧、中東に拡大した道
◇湾岸諸国では外国人労働者が感染
4月になるとカタール、バーレーン、UAEなど湾岸諸国での患者数が急増しますが、イランからの流行が波及したのに加えて、西欧諸国での流行が拡大してきたことも影響しています。 このときに湾岸諸国で発生した患者の大多数は、そこで働く外国人労働者でした。カタールやUAEではインド系などの外国人労働者が人口の9割を占め、集団生活をするなど劣悪な環境で暮らしています。こうした集団の間で、新型コロナの流行が急拡大していったのです。 さらに、4月下旬から始まったイスラム教の宗教行事であるラマダンが、中東地域での流行に拍車をかけました。約1か月にわたるラマダン期間中は、日の出から日没まで断食し、日没後の食事を大人数で食べることが習慣になっています。この夜の会食が新型コロナの拡大を助長したようです。 ラマダン期間を経て、中東諸国では新型コロナの流行がさらに広がり、2020年を通して流行することになるのです。 このように、中国で発生した新型コロナの流行は、イタリアとイランへの2つのルートを介して、ユーラシア大陸全体に拡大していきました。それには、キリスト教のカーニバルやイスラム教のラマダンといった宗教行事も影響していたようです。この間に、流行はアメリカ大陸にも波及し、そこで大きく増幅することになります。次回はこの経緯について解説します。 【次回は2月掲載予定】
メディカルノート