どうなる、どうする五郎丸。日本代表復帰の可能性は?
ラグビーの元日本代表、五郎丸歩(31)の去就が注目されている。 2015年のワールドカップイングランド大会では元日本代表としてベストフィフティーンになったフルバックは、現在在籍するフランス1部リーグ・TOP14のトゥーロンとの契約が今季限りで切れるという。2016年3月に退団した日本のヤマハへの復帰も視野に入れているとされる。 2016年から今春にかけ、世界を転戦した。まずはオーストラリアのレッズに加わり、南半球主体のスーパーラグビーに挑んだ。いまのトゥーロンへ移籍したのは同年8月からだ。 攻守が目まぐるしく切り替わるスーパーラグビーでは、故障もあり、不完全燃焼の感を残した。もっともフランスの舞台では、キックによる陣地獲得と激しいコンタクトが主体。フィジカリティ、グラウンド最後尾での落ち着いたキック処理を持ち味とする五郎丸にとっては、よりフィットしそうだとの見方は強かった。 とはいえ、五郎丸がオファーを受けて行ったトゥーロンは、「銀河系軍団」とも謳われる選手層の厚いクラブだった。フルバックの位置にも多くのライバルがおり、レギュラーを張ったのはウェールズ代表のリー・ハーフペニー。五郎丸がその名を知らしめたプレースキックでも十分な安定感を保ち、ハイボール捕球時のばねやスペースを切り裂くスピードでも勝った。五郎丸は23試合中5試合の出場にとどまった。 一般論として、トゥーロンに在籍するような強豪国出身のキャリア組は総じてコミュニケーション能力が高い。プレー中に短い単語で連携を図ったり、首脳陣やリーダー格の指示を咀嚼して仲間内で共有したり。日本のトップリーグにはせ参じる各国のスタープレーヤーたちも、そんな無形の力を評価されている。 ましてや現地では、フランス語または英語が飛び交う。日本代表などでは当たり前のようにいる通訳は存在しない。レッズ時代から言語の壁に苦しんだとされている五郎丸にとっては、コミュニケーションが定位置争い以前のハードルとなっても不思議ではない。特に、チーム内で存在感をアピールしなければならなかった序盤戦時ならなおさらだろう。 大きくとらえればマッチしそうだったラグビーのスタイルにおいても、異物感はあったか。フランスのTOP14では特にシーズン中盤まで、バックスのランナーが単発で相手とぶち当たるケースが多い。五郎丸が光り輝いたエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ時代の日本代表のような攻めの決まり事は、さほど重視されていなさそうだった。もし、日本なら組織的に攻めるような場面で自主性だけを求められているのだとしたら、その勝手に慣れるまでにも時間がかかったはずだ。