「大腸カメラ」で“腸に穴が開く”可能性があることをご存じですか? 合併症やリスクを医師が解説!
大腸カメラを受ける際の注意点
編集部: 症状が出る前の検査が大事なのですね。 木村先生: はい。胃がんや大腸がんは、症状が出た時点で進行していることが多いので、症状のないうちに検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。35歳以上で、これまでに一度も内視鏡による検査を受けたことがない人は、ぜひ検査を受けていただきたいですね。 編集部: 検査時の注意点はありますか? 木村先生: 例えば、抗血栓薬や抗凝固薬などのいわゆる「血液サラサラの薬」を服用している人は、出血した場合に止まりにくくなるリスクがあるので、事前に必ず申し出てください。医師が内服の確認をして、必要があれば中止の指示をします。 編集部: ほかにも、気をつけた方がいいことはありますか? 木村先生: 検査前日の食事は、繊維質の多いものや油分の多いものは控えていただいています。また、当日は腸の中を空っぽにするため、下剤を服用して排便を促します。 編集部: 大腸カメラに伴う合併症などはあるのですか? 木村先生: 稀ですが、スコープの挿入により、腸に穴が開いてしまうことがあります。穴の開く場所はS状結腸が多いですね。また、ポリープの切除時に、出血したり腸に穴が開いたりすることもあります。すでに直腸やS状結腸などにがんがあった場合は、腸が狭くなっていることも多く、下剤ががんの手前で渋滞を起こして穴が開くこともあります。 編集部: 腸に穴が開いたら、どうするのでしょうか? 木村先生: 緊急手術の対象となります。合併症が起こらないよう、また、万が一起こってしまっても適切な対応ができるように、技術のある医師や信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。
内視鏡検査を受ける病院選びのポイント
編集部: 医師や医療機関選びが重要なのですね。 木村先生: はい。大腸カメラは、医師の経験や技術にバラつきが出やすい検査です。曲がりくねった腸の中で内視鏡を扱うのは高い技術が必要ですし、小さな病変をいかに見つけられるかにも医師の腕が要求されます。また、検査機器もどんどん進化しています。精度の高い機器で実績のある医師に検査してもらった方が、早期の病変でも見つけやすいでしょう。 編集部: ほかに、医療機関を選ぶポイントを教えてください。 木村先生: 最近では様々なタイプの下剤が出てきているので、多くの選択肢を持つ医療機関がおすすめです。また、検査に対する恐怖感の強い人は、鎮静剤(麻酔)を使える病院もあるため、事前に確認してみましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 木村先生: 大腸カメラは、大腸の内部をカメラで視覚的に確認できる非常に優れた検査で、大腸がんの早期発見には欠かせません。しかし、医師の技術や経験によって病変の発見や苦痛に差が出てしまう検査でもあります。さらに、検査やポリープの切除で、出血や腸に穴が開くといった合併症のリスクもあるのです。医師・医療機関選びが大切なので、今回お伝えしたポイントを参考にしてみてください。