吉村界人が語る『地面師たち』出演の影響と最新作への思い
大根監督とのエピソード
「監督は、『界人は俳優だろ? この場にいる俳優さん、スタッフ全員をそのセリフで感動させてくれよ』って。そんな指示を受けたのは初めてでしたね。大抵は会話のテンポや、演技の際の所作についてのテクニカルなリクエストが多いのですが、『俺たちを感動させてくれ』と言われた時のプレッシャーは半端なかったです」 ドラマがクランプアップした後、しばらくして大根監督からLINEで連絡があったという。「一応、LINE交換はしていたんですけど、ほとんど連絡を取ってなかったし、僕から何か送っても大抵は既読無視(笑)。なのに、『楓、めっちゃいいよ』ってメッセージが来たんです。大根さんを知っている方なら誰しも分かると思うのですが、大根監督って滅多に人を褒めないんですよ。なのに、『この作品は絶対ヒットすると思うから、界人もバズる準備をしておけよ』って。嬉しい反面、少し驚きもありましたね」 吉村が俳優業に興味を持ち始めたのは学生時代だった。「夜間の大学に通いながら、本を読んだり映画を観たりしていたんです。親も本が好きだった影響もあり、夏目漱石をはじめとした古典文学から海外の作品まで幅広く読んでいました。そこからさまざまなカルチャーに興味を持つようになっていきましたね」 古本屋や映画館に通い詰めた日々を振り返り、当時の情熱を語る吉村。「19歳や20歳の頃って時間だけはたっぷりあるじゃないですか。映画も『ウォーターボーイズ』みたいに大ヒットした邦画から、香港映画や海外のインディーズ映画まで何でも観ていました。母親がブラッド・ピットの大ファンだったので、彼の出演作もよく観ましたね。特に『トゥルー・ロマンス』はお気に入りで、何度も繰り返し観ました。 俳優の道を選んだのは、ある意味で「消去法」だったという。 「監督になるには勉強も必要、だけど映像学校に通うお金はなくて。技術部や演出部も難しいし、テレビ業界もどうやったら監督になれるのかわからない。そんな中で、俳優なら自分にもできるかも?と思ったんです」 そんな吉村のプライベートは、役者仲間よりも異業種の友人と過ごすことが多い。「休日は友達の車に乗って、ドライブすることが多いですね。運転はできないので、助手席に座って他愛のない話を延々としています(笑)。普段あまり派手な遊びはしないんですけど、車に乗ってちょっとした小旅行をすると気分転換になりますね」 ある意味「界隈」と程よい距離をとっている彼は、そのライフスタイルも「我が道」を突き進んでいる。「髪型もファッションも、流行に左右されず自分が『いい』と思っているものを選んでいますね。周りの人には『あんまりカッコよくないよ?』と言われることも多いですが……(笑)。特にお気に入りのスタイルやジャンルもないし、特定のお店へ行くわけでもなく、ふらっと立ち寄ったお店で『いいな』と思ったら買っているだけなんですよね」