7&i、非コンビニ事業の分離計画発表-企業価値向上へ加速
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングス(HD)は10日、中間持ち株会社設立を柱とするコンビニ以外の非中核事業の分離計画を発表した。カナダのアリマンタシォン・クシュタールからの買収提案を受ける中、自社主導での企業価値向上が可能であることを市場に訴えかける。
中間持ち株会社を設立し、祖業であるイトーヨーカ堂をはじめスーパー事業関連企業や、ロフトやベビー用品を扱う赤ちゃん本舗などを移管する。対象は連結子会社24社と持ち分法適用会社7社の計31社に及ぶ。
中間持ち株会社は当初7&iHDの完全子会社として設立するが、外部資本を注入し、持ち分法適用会社化を検討する。創業家からの出資受け入れも視野に入れる。組織再編の効力発生は25年2月下旬を予定しており、連結業績への影響は軽微だという。
井阪隆一社長は同日の会見で、グループ各社がスピードを上げて施策を実行し、業績・企業価値の向上にまい進するとした。中間持ち株会社への資本導入については、1社ではなく数社のコンソーシアム形式になる可能性もあるという。
また今回の施策を通じて、コンビニ事業をより強化できると強調。成長に伴って資本効率を考えて経営することが、クシュタールの提案額を上回る株主からの評価獲得につながるとの見方を示した。
7&iHDは4月にスーパー事業の改革案として、新規株式公開(IPO)を提示していた。今回の中間持ち株会社設立と外部資本注入の発表は、そこから一歩前進した格好だ。7&iHDの社名を「セブン-イレブン・コーポレーション」に変更し、コンンビニ事業にフォーカスする姿勢も示す。
ただ投資家は厳しい視線を向ける。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「悪化した業績を改善させると投資家を納得させるために十分なストーリーはなかった」との見方を示した。
現状では提案された買収価格に魅力を感じる投資家は多いといい、力強い成長戦略は「新たな買い手を集めるためにも必要だ」と指摘した。