専門家が教える、手術せずに「脊柱管狭窄症」を改善するセルフケア
真っ先にケアすべき「仙腸関節ストレッチ」
背骨下部の仙骨と、骨盤左右にある腸骨をつなげているのが仙腸関節。日本人の約8割は、この関節に不調を抱えているとされ、腰痛持ちの「ほぼ全員に仙腸関節の機能不全」があると、酒井さんは述べている。 だから、いの一番にこの関節をストレッチして、可動域を広げることが重要となる。このセルフケアでは、硬式のテニスボール2個を用意。ボール同士をくっつけ、ガムテープなどで固定しておく。ストレッチは、以下の要領で行う。 1. まずは目印の尾骨を確認 お尻の割れ目の上の出っ張った部分=「尾骨の先端」を探し、そこに握りこぶしをあてておく。 2. 握りこぶしの上にテニスボールを乗せる 1の握りこぶしの上の位置=「仙腸関節」に、あらかじめ用意しておいた2個のテニスボールを左右中央にくるように乗せる。 3. 1~3分間、仰向けに寝る 握りこぶしを外し、ボールの位置がズレないように注意しながら仰向けに寝て、その体勢を1~3分間キープ。回数の目安は、1日1~3回。
腰を痛めない床の座り方
どのようなタイプの腰痛であれ、発症の「スタート地点はいっしょ」だと、酒井さんは説く。「スタート地点」とは「悪い生活習慣」を指す。腰の関節や骨の異常を招く姿勢・動作を、意識しないでも日頃から行っていると、やがては腰痛に見舞われることになる。 本書では、そうした事態を防ぐため、歩いているとき、立っているとき、椅子に座っているときなどにおける、正しい姿勢・動作が指南されている。 そのなかで床に座ることは、「なるべく避けるのが無難」とアドバイスされている。しかし、そうせざるをえない場合は、以下のように正座する。 ただし、腰痛・しびれがあるなら長時間の正座はNGで、脚を崩して座るようにする。ポイントは、「痛む側とは反対方向に脚を流す(崩す)」。そうすれば、ひざ下の神経や血管の圧迫が緩和されラクに座れる。 * * * 酒井さんは、「脊柱管狭窄症は、手術でしか治せない疾患などでは決してありません」と言い、ほとんどの痛み・しびれは本書のセルフケアで改善に向かうとする。腰のつらい症状で悩んでいる方は、実践してみるといいだろう。 【今日の健康に良い1冊】 『図解 今すぐ治せる! 脊柱管狭窄症』 酒井慎太郎著 定価1430円 Gakken 文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagramに掲載している。
サライ.jp