専門家が教える、手術せずに「脊柱管狭窄症」を改善するセルフケア
文/鈴木拓也 日本人の、実に約3千万人が悩んでいるといわれる「腰痛」。 一口に腰痛といっても、ぎっくり腰といった一般的な腰痛もあれば、手術をすすめられるような深刻なものもある。 写真はこちらから→専門家が教える、手術せずに「脊柱管狭窄症」を改善するセルフケア 後者の代表が脊柱管狭窄症。罹っている人は、高齢者を中心に数百万人はいると推定されている。症状のしんどさから動くのがおっくうになって、要介護になるリスクもあり、「たかが腰痛」と侮れない。 では、早めに手術をしてもらえばいいかといえば、そこはちょっと用心が必要だ。
脊柱管狭窄症のみで痛む人は全体の「1割」
実は、その症状が純粋に脊柱管狭窄症からきているという人は、全体の「1割」しかいないからだ。 そう説くのは、柔道整復師で「さかいクリニックグループ」の代表を務める酒井慎太郎さん。酒井さんは、新著『図解 今すぐ治せる! 脊柱管狭窄症』(Gakken)の冒頭で、次のように説明する。 <当院での脊柱管狭窄症の症例実績からすると、痛みやしびれの原因が完全に脊柱管の狭窄でしかありえない=100%の脊柱管狭窄症というケースは、ほんの1割程度しかありません。 ごくまれに、脊柱管にできた腫瘍や、精神的な問題が脊柱管狭窄症の原因になっている場合もありますが、これはほんの数%です。 その一方で、A・Bの混合タイプの脊柱管狭窄症は、全体の約9割を占めています。 この点に気づかずにいると、世間にあふれる脊柱管狭窄症対策をいくら続けても、痛みやしびれを完全に解決することはできません。(本書24~25pより)> 酒井さんは、椎間板ヘルニアの症状が前面に出ているAタイプと、脊柱管狭窄症が前面に出ているBタイプに便宜上分けている。「A・Bの混合タイプ」とは、双方からくる症状が現れたものをいう。なので、それに気づかずに脊柱管狭窄症の手術をしても、Aタイプの症状は依然として残るため、腰痛は改善されない。こうした悩みを抱えた人は、少なくないそうだ。 本書には、「せき・くしゃみが腰に響くか否か」など、6つの質問からなるチェックリストがある。それで、自身はAタイプかBタイプか、あるいは最も多い混合タイプかを判定し、それに応じたセルフケアが掲載されている。その一部をこれから紹介しよう。