さらさらヘアー拒む野球部員 丸刈り貫く理由は?
18日に開幕する第96回選抜高校野球大会に広陵が3年連続で出場する。27度目となる今回、1925年の第2回大会の初出場から数えて100年目。伝統ある部の誇りを持ち、切磋琢磨(せっさたくま)する選手の姿を追った。 【画像】丸刈りにした広陵出身のカープ中村奨成 甲子園に挑む広陵ナインは広島をたつ前、必ず頭にバリカンを入れる。「勝ち進むと丸刈りに角が立つからきれいにしたいって」。中井哲之監督(61)は、大会に向け「身だしなみ」を整える選手をほほ笑ましく思う。 昨夏の甲子園で、さらさらヘアーの慶応(神奈川)が優勝。「高校野球を変えた」と話題をさらった中、広陵の選手は誇りを持って貫く。2年浜本遥大(はると)選手(17)は「小さい頃から見てきた広陵の選手はみんな丸刈り。それがかっこいいと思ってきた」と胸を張る。 日本高野連が昨年発表した全国調査で丸刈りは全加盟校の26%にとどまる。「脱丸刈り」が進む高校球界で、中井監督も「時代の流れに合った指導をしないといけない。丸刈りが理由で野球人口が減るのを望まないから」と強制はしていない。実際、昨春、部員に髪を伸ばすことを提案した。だが、選手が出した答えは「NO」だった。 理由は「広陵の歴史を変えるのは嫌」「そもそも長髪は格好良くない」など。2年田村夏芽選手(17)は「嫌なら、他の高校で野球をする選択肢だってある。僕は、広陵で野球をしたかった」。丸刈りが自己表現の一つとなる。 2年河手音和(とわ)選手(17)は言う。「長髪のチームがあったっていいと思う。ただ対戦すれば、負けたくないと気持ちが入る」。らしさ、伝統が敬遠されがちな令和の春、きれいに整えた丸刈りで大舞台に立つ。
中国新聞社