中村時広・愛媛県知事に聞く(全文2)「地域の情報、見せ方を工夫」
地図上から求人が見られる独自サイトを運営 県外からのアクセスも多い
もう一つは、これも2017年からスタートさせたんですけれども、モデル事業として全国で初めて、全国的な人を紹介する会社と証券大手の会社と地元の金融機関と我々自治体等と複数のコンソーシアムを組んで「あのこの愛媛」というサイトを立ち上げました。 これは愛媛県内の本当に細かい地図上のデータの中に、このエリアであれば、こんな会社がこれぐらいの人数でこれぐらいの給与で募集していますという求人情報がてんこ盛りなんですよ。非常にこれは、国のモデル事業にもなっていまして、全国で初めての事業でございます。2カ月ぐらいでもう2万以上のアクセスがありましたので、求人情報を得たいという方にとっては非常に便利なサイトになっています。 やがてここは、活用がふえていきますと、実際に就職にもマッチングできてきますから、このデータをさらに活用して、サイト自体を成長させていこうというふうなことを考えています。さらに、ここに、住居関係の情報もリンクさせて、移住の総合サイト等々に成長させていくことができたらなというふうに思っています。 ── ハローワークとかとの違いは。 もっと細かいですね、非常に。ハローワークというのは実際行かなきゃいけないですから。ネットで、最新の細部にわたる情報が手に入るというところが理想です。 ── これは、今、求人をやっているとか、やっていないとか、そういうことがわかるということ。 この街のこのあたりに興味あるなといったら、地図でワーッと行って、バンッと押しますと、そのエリアの数キロの範囲にこんな求人があるよというのがダダダダダーッと出てきます。 ── 地図と求人が紐づいているということですか。 そうですね。はい。 ── 例えば自分の実家からこれぐらいの距離間で、というのもすぐに探せるということ。 はい。あそこのエリアのあの風景のもとで住みたいなと。でも働く場所あるのかな。そういうふうな形でも活用できますね。 ── 2万以上のアクセスというのは県外の方からでしょうか。 県外が、もうかなり多いです。 ── 県内と県外ではどちらが多いのでしょう。 県内のほうが多いですけれども、県外もかなり予想以上に出てきています。それが愛媛県出身者かどうかまではちょっとまだわからないんですけれども。ただ少なくとも、2016年までに愛媛県に移住された方は大体200人ぐらいだったんですが、2017年は600人ぐらいになってきていますので、右肩上がりで増え始めたということだけは間違いないですね。 ── 情報の見せ方とか出し方とかに、すごく知事は気を使っているように感じます。 一次産業にしても、かんきつを中心として非常に魅力的なコンテンツがあるんですね。ものづくりにしても、例えば、ある市では、紙産業の大手を含めた企業群が集結している、ある街では、歴史的にある企業グループの中核工場が集結している、ある街では、西日本有数、最高峰の山から流れてくる水を使った食品やエレクトロニクス産業の工場が集結している、ある街では、造船や海運、タオルの日本一の集積地になっていると。市ごとに産業構造が違うんですよ。 そういうコンテンツが豊富にあるので、しかも、その大手の企業を支えている下に、先ほど申し上げた技術力のある中小企業がたくさんあるんですね。例えば、宇宙船はやぶさの部品をつくっていたり、東京スカイツリーのアルミサッシをつくっていたり、東京ドームの屋根をつくっている会社があったり、それはもうエンド製品じゃないから知られていないんですね。でも、こんな会社があるんだということは、就職先としても魅力的なんですね。それをどう見せるかというのがすごく大事な視点だと思っています。