中村時広・愛媛県知事に聞く(全文2)「地域の情報、見せ方を工夫」
── 例えば、工業高校などのお子さんが見るようなイメージですか。 そうですね。はい。農業高校だったら、すご味データベースというのがあります。 それともう一つは、愛媛農林水産人データベースというのをつくっているんですが、こちらは、一次産業の方、収益を上げてもなかなか言わないということを申し上げましたけれども、言っていいよという人を募集したんですね。自分たちは一次産業でこんな取り組みをして、こんなライフスタイルを送って、これだけの収益を上げているというのを言ってもいいよということを呼びかけたら、手を挙げてくれたのがもう100人以上いらっしゃいまして、若い人が多いんですけれども、その方々の参入動機であるとか、1日の生活のパターンであるとか、収益構造であるとか、苦労話であるとか、そういうのを全部書き込んだデータベースの冊子もつくってあるんですね。これは、例えば農業高校なんかでは非常に生きると思います。水産高校もそうですね。 ── 何でもデータベース化をされているんですね。 そうですね。そのほかにも、スゴ技データベース、すご味データベース、それから伝統工芸品を集約した、すごモノデータベース、それからベンチャー企業を集約したスゴVen.データベース等々、いろいろありますね。 ── 地域の資産を可視化するような狙いがあるんですか。 もちろんあります。はい。 ── 人口の流出抑制のために、今いる県民にも、こういう資産があることを伝えたいと。 そうですね。はい。
もう一つは、県外に行ってしまった学生たちを呼び戻すために、今Uターンを側面的に支援する事業も2年前から起こしているんですけれども、ふるさとにどうせ帰ってくるんであれば、この時期にどうと。県内の企業とマッチングして、就職説明会を構えます。この就職説明会に参加することを条件に、ふるさとUターンの片道の交通費を援助するという事業を起こしていますけれども、これも年々利用者が増えてきています。 ── 結構な金額になりますよね。学生さんはどこでその情報を得られるんですか。 やっぱり高校の同窓会というのが大きいですね。 ── 高校の同窓会とかに案内をすると。 はい。 ── この事業で数値的に成果とかというのは出ているんでしょうか。 これはもう確実に上がってきていると思います。就職説明会の参加者が増え始めていますので。 ── 県外へ出ていってしまった人を戻すということもあると思うんですけれども、移住による流入も図っていくということでの施策はありますか。 はい。これも、東京と大阪に移住コンシェルジュという愛媛県の紹介をする専門スタッフを常駐させていまして、例えば、東京都で行われる移住フェスティバルとか、そういうものに前面に立っていただいて、関心のある方のガイド役を果たしていただいています。 そのガイド役が、これはという人が出てきたら、つないでいただいて、愛媛県の特色というのは、20の市町があるんですけれども、県と20の市町が非常にスクラムを組んでいるところなんですね。1カ所のワンストップサービス、そこに来ていただいたら市町の情報も全部こちらで提供しますという仕組みをつくり上げていますので、もし来られた場合、例えば、市、町のバックアップ制度にはこういうのがあって、県としてもこういうのがありますから、それを両方使ったらいかがですかとかいう提案をきめ細かくできるようにしてあるんですね。 例えば、移住して空き家を活用するときには、改修補助制度がこういうのがありますよとか、あるいは事業を立ち上げるときには、立ち上がりにこういう融資制度がありますよとか、1カ所に相談していただけたら全てがわかるような仕組みをつくり上げています。