中村時広・愛媛県知事に聞く(全文2)「地域の情報、見せ方を工夫」
中学生の職場体験をリニューアルし、人口流出を防ぐ
── 二つ目の、人口の流出の抑制については、どのようなことをされているんですか。 これは先ほどもちょっと触れたんですけれども、一次産業が業として成り立つ、あるいは世界と戦う技術力を持った中小企業が存在している、これを地元の人が知らないわけですね。 多感な少年期にその存在をしっかり記憶に刻めば、いざ学校進学で外へ出ていったとしても、就職のときに選択肢に入ってくるのではないかということに着目をして、どういうプログラムがいいのかというのを練った上で、例えば職場体験とかも、1日、2日行ってもあまり効果がないんですよね。やっぱり5日ぐらいしっかりとした現場体験をするとか、それから企業の人材確保に対する前向きな姿勢が、初めて職場体験に訪れた子供たちに伝わるとか、いろいろな要素があると思うので、そのあたりのネットワークと、それから期間を含めた中身ですね。これを充実した上で、中学生にターゲットを絞った地域ごとの職場体験というものを実施しています。
地域の資産をデータベースにして可視化する
ただ、この職場体験ってよくやるじゃないですか、どこでも。そういう1日、2日やっても仕方がないというので中身は変えました。中学生職場体験事業とかいう、堅苦しい名前の事業というのは全国にもあるんだけれども、そもそもこの名前がよくないと、もう何か決められたお役所的な名前では子供たちにも響かないので、これは勝手に名前をつけまして、愛媛ではジョブチャレンジU-15という事業にネーミングをしまして、これから大々的に広げていく段階に入っています。 その事業に入りやすかったのは、実はその前に取り組んでいた愛媛県中の企業のデータベースが大きな力になりました。もともとこのデータベースというのは、愛媛県の中小企業の営業力を、営業力が弱いというところを県庁がカバーしようということで、愛媛県には営業本部というのをつくったんですけれども、その営業ツールとして活用するためにつくったのが、スゴ技データベース、愛媛県の中小企業の技を集約したデータベースだったんですけれども、これは先ほどの子供たちに知ってもらうということにも使えるということで、高校生版、中学生版のスゴ技データベースを少しわかりやすく解説して変えまして、これを今申し上げたジョブチャレンジU-15事業に活用しています。