「1ラウンドから釘付けになりました」元世界王者・飯田覚士が驚いた中谷潤人の変化とは…「わずかな集中の隙にパンチを放っていく感じ」
公開採点で大きくリードも迎撃態勢へ
2ラウンドにはスリップとなったが左のオーバーハンドをカウンターで発動している。1ラウンドにジャブを制し、2ラウンドにカウンターを見せつけて、攻め手を何とか探ろうとするペッチを混乱させる。 3ラウンドになると今度はアッパー、ジャブカウンター、フックと多彩な右を多めに繰り出す。離れてよし、近づいてよし。王者の攻め手は時間の経過とともに増えていく感じがした。 日本で行なわれるWBCの世界タイトルマッチは公開採点。4ラウンドまで40―36と中谷のフルマークが2者、39―37が1者であった。劣勢を挽回しようとペッチがギアを上げてくるのは予想できた。だが中谷は「別に打ち合わなくていい」と陣営から声があがりながらも接近戦で右アッパー、ボディーショット、折りたたんだフックを繰り返すなど、逆に迎撃して押し返そうとする。中谷自身、ここを勝負のラウンドとしたのだ。
「打ち合っても大丈夫だ」という確信
飯田は言う。 「ペッチ選手の実力を考えたらリスクはかなりあります。スーパーフライ級時代の中谷選手であれば、おそらくこうはしなかった。減量苦が伴っていたので体力のある選手に打ち合いで付き合ってしまうと先に自分がガス欠になる可能性がありますから。以前は行きたくても自制していたように思いました。でもバンタム級に上げてからは以前のような減量苦がなく、ここで打ち合いに付き合っても大丈夫という自信があったんでしょうね。公開採点で大きくリードしているからってひと息つかないし、強気でした。ペッチ選手からすれば、“よし、打ち合いに持ち込めた”と思ったのかもしれないですけど、中谷選手は大丈夫だという確信があったんでしょうね。 凄いなと思ったのは足を止めて打ち合わなかったこと。ちょっとずつ横にズレながらコンビネーションを打ち続けていました。相手の動きに対応しつつ、体のバランスを取りながらパンチの種類を選びながら打ち続けるって、かなり高度なテクニックです」 強気のボクシングと高度なテクニックで、リスクを制して自分のラウンドとする。次のラウンドに訪れるフィナーレの呼び水となる――。 <後編に続く>
(「ボクシングPRESS」二宮寿朗 = 文)
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