もう完全に終わったな…手取り月42万円・52歳サラリーマン「父さんの収入では国立大でも無理だ」と息子に謝るしかない「悲しい現実」
現実的に「国立大学の授業料さえ負担できない」が53.6%
労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート』によると、大学生以前の子どものいる人に入学金や生活にかかわる費用は除く年間授業料をどれほど負担可能か尋ねたところ、中央値は44.1万円。現在の国立大学の標準授業料以下だったのは53.6%と半数を超えています。 なお、本調査における世帯年収は平均626.4万円。男性回答者の中央値は596.2万円で、石川さんと同様、50代前半では793.2万円でした。 また世帯の家計の状況をみていくと、「貯金ができるくらい余裕がある」は34.9%。一方で「貯金を取り崩してやりくりしている」は24.5%と、4世帯に1世帯は赤字という状況です。そして、子どもの教育費の負担感を、大学院生までの子どもがいる人たちに聞いたところ、「負担感あり」は75.0%。そのうち、全体の28.9%が「かなり負担感がある」と回答しています。また長子が大学生の世帯に絞ると、「負担感あり」は81.9%と、8割を超えています。 年俸制だという石川さんの年収は700万円ほど。月58万円、手取りにすると月42万円ほどだといいます。そのようななか、国立大学の授業料、年50万円強を出すのは……「正直無理!」というのが、今のところの石川さんの状況です。 ――情けない話ですが、長男には俺の収入では国立大学でも無理。奨学金を活用するなり、バイトをするなり、自分でも頑張ってほしいと、あらかじめ謝罪しています と石川さん。それに対して長男は将来を見据えて、「人生、もう完全に終わったな」とポツリ。その真意を聞くと、「将来大変になるから奨学金は借りるもんじゃないと、先輩たちがいっていた」といいます。 前出のアンケート調査に戻ると、大卒の奨学金利用率は45.2%、日本学生支援機構の奨学金利用者の借入れ総額平均は337.7万円でした。 また返済に対して「苦しい」と回答したのは44.3%。うち全体の16.3%が「かなり苦しい」と回答。さらに大学卒業の生活設計に対しての影響として、結婚は4割半ば、出産や子育てなどは4割前後が返済による影響を感じています。 「国立の大学の授業料さえ払うことができず、奨学金を利用」→「大学卒業後、奨学金返済に苦しむ」→「結婚を諦めたり、子どもを諦めたり」……そんな負のループがみえている、サラリーマン世帯。奨学金を利用しての大学進学が現実的な子どもたちに「人生、終わったな」といわせないようにしたいものです。 [関連記事] 総務省『2020年基準消費者物価指数』 労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート』