トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明(全文3)協調の精神が重要
VTRによるCASEに向けた取り組み説明
次にCASEの時代に合わせて変えていくべきものについてお話をさせていただきます。その前にこちらの映像をご覧ください。 (VTR開始 01:07:56) 豊田(VTR):It's my goal to transition Toyota from an automobile company to a mobility company. 今回の新型クラウンとカローラは、お客さまにリアルなコネクティッド体験を提供するモデルです。 男性(VTR):これまでの完成車の提供だけではなく、トヨタは今後、電動車両化の技術のシステムサプライヤーとして地球規模での電動車両の普及に貢献をしてまいりたいというふうに思います。 豊田(VTR):私ども自動車産業は、世界のさまざまな国でビジネスを展開してきております。その国の経済やその市の人々に求められる存在でありたいと願い、その地がホームカントリー、ホームタウンであるとの思いでやってまいりました。 それに加えて、これからの自動車産業にはホームプラネットという概念も必要になってきたと考えております。CASEが進んでいけばそのつながりの中では国境という概念は薄れてまいります。また、空を見上げれば、空に国の境はなく、地球規模となっている環境問題など、われわれのふるさとであるホームプラネットへの思いを持って考えていかなければなりません。 (VTR終了 01:12:08)
環境技術は普及しなければ地球環境改善に役立たない
豊田:今、CASEに向けた私たちの取り組みをご覧いただきましたが、特にCASEの中の、E、電動化を例にビジネスモデルの転換について補足をさせていただきます。これまでの私たちは燃料電池自動車FCVでも、電気自動車EVでも、ガソリン車と同じように完成車として販売店に卸し、販売店を通じて個人のお客さまにお届けするという形にとらわれていたように思います。 確かにハイブリッドカーまでは、このビジネスモデルは有効だったと思いますが、新たなインフラを必要とするFCVやEVでは通用しないかもしれません。FCVやEVの導入を進めるに当たり、あらためて私たちがやらなければならないことはなんなのか、ということを自問自答いたしました。 そして原点に立ち戻り、出した答えが普及です。環境技術は普及しなければ地球環境改善に役立つことはできません。そう考えたときに、これまでとは違う発想が必要となってまいります。乗用車や個人向けにこだわらず、商用車や官公庁、法人から広げていく、単独開発にこだわらず、仲間と共同で開発する。特許を囲い込むのではなく、開放して仲間を増やす。車だけではなく、使い方とセットでシステムを売る。つまり、これまでの発想を転換し、より幅広く、よりオープンに、より良い社会ヘの貢献を追求することが新しいビジネスモデルにつながるのではないかと考えているのです。 これから先は人々の暮らしを支える全てのもの・サービスが情報でつながっていく時代に入ってまいります。私たちのビジネスを考える上でも、車単体ではなく、車を含めたまち全体、社会全体という大きな視野で考えること、すなわち、コネクティッドシティという発想が必要となります。コネクティッドシティにおいては、共創と協調、特に協調の精神が重要になってくると思います。 世の中に目を向けますと保護主義的な考え方が広がっております。資源のない日本が単独では生きていくことができないように、私たち企業も単独では生きていくことはできません。そのことを身にしみて理解しているのは日本という国であり、日本で生まれ育ったグローバル企業なのかもしれません。これからは仲間づくりがキーワードとなります。従来のような資本の論理で傘下に収めるという考え方では、本当の意味での仲間はつくれないと思います。 どんな未来をつくりたいのかという目的を共有し、お互いの強みを認め合い、お互いの競争力を高め合いながら協調していくことが求められると思っております。私たちトヨタでいえば、地球環境に優しく、交通事故のない社会、全ての人が自由に楽しく移動できる「FUN TO DRIVE」な社会の実現を目指してまいります。 【書き起こし】トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明 全文4に続く