トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明(全文3)協調の精神が重要
培ってきた3つの競争力
1つ目は、TPSに基づく物づくりの力です。先ほど申し上げましたとおり、これこそがトヨタグループの全ての競争力のベースであり、今後も磨き続けていくべき、ぶれない軸と考えております。 TPSには改善後は改善前という言葉があります。常に今よりもっと良いやり方があると考え、どんどんやり方を変えていく。当然、失敗することもたくさんありますが、失敗の中から学び、さらに良いやり方をつなげていく。私は、イノベーションはどこからか突然訪れるものではなく、インプルーブメントが呼び込むものだと考えております。 この改善の力こそが、これまでも、そしてこれからも、私たちの持続的成長を支える競争力の源泉になると思うのです。そして、この物づくりの力をグループの視点で強化していく取り組みが、ホーム&アウェイという戦略になります。TPSという共通言語を持つグループ企業だからこそ実現できる物づくりの力があると思っております。 2つ目は世界中に張り巡らされたネットワークの力です。トヨタ車およびレクサス車の販売拠点数はレンタリース店も合わせますと日本国内に6000拠点。全世界では約1万6000拠点に上ります。また、私たちにはグループ会社や仕入先などの巨大なサプライチェーンもあります。これらのネットワークが自動車の製造販売だけでなく、新たなサービスにも活用していくことができれば、私たちの未来は大きく広がります。 これからはお客さまとの接点となるラストワンマイルが勝負を分ける時代です。車だけでなく住宅やコネクティッド事業を自前で持っていることも、私たちの大きなアドバンテージになると思っております。 3つ目が保有の力です。トヨタ車とレクサス車の全世界の年間販売台数は950万台ですが、全世界の保有台数は1億台以上に上ります。そこにはトヨタという企業に対する信頼があると思います。豊田喜一郎による創業から80年以上、お客さまに向き合い続け、お客さまと築き上げてきた信頼関係があるからこそ実現できる世界があると思っております。 これから新しいモビリティーやサービスを提供していく上で、トヨタを信頼してくださるお客さまが世界中にいらっしゃることこそが、何にも代えがたい私たちの財産です。 こうした3つの力は、物づくりの世界で戦ってきた私たちが持つ、一朝一夕ではつくれないリアルの力です。このリアルの力を磨き続けることがトヨタオリジナルの競争力を高めることになると考えております。