B.革新の申し子たち~ドラフト・エイジ(中編)(インカレバスケ2024)
B.革新の申し子たち~ドラフト・エイジ(前編)より続く つい最近までプロとして駆け回っていた引退選手たちが、ベンチで指揮を執る姿が大学界でも増えてきた。三遠ネオフェニックスでかつてプレーしていた大口真洋監督率いる浜松学院大学、環太平洋大学とトライフープ岡山はそれぞれプロクラブと協力関係にある。元プロ選手から指導を受ける3年生たちは、『B.革新』による2026-27シーズンへ向けたドラフトをどう意識しているのだろうか ──
「まわりを見ながら自分の得意なことを生かせられるように」環太平洋大学 #11 戸坂透也
環太平洋大学の大森勇監督は、トライフープ岡山のヘッドコーチとしてB3リーグで指揮を執っている。インカレ期間はシーズン中ということもあり、2年前の環太平洋大学のキャプテンである角谷大成アシスタントコーチがベンチワークを担っていた。その角谷氏も、今はトライフープ岡山のアシスタントコーチ。プロクラブのコーチ陣が監修し、業務委託を結んで岡山県のバスケを育成している。オフェンスでは、「相手より分があるところをしっかり攻めて行こう」と選手の強みを最大限生かす戦略で、環太平洋大学として初のグループステージ突破を決めた。 関西学院大学戦は相手の速いペースに付き合うことなく、「同じように戦ったら絶対に勝てないと考え、スローダウンしながらも最後はしっかりピックを使って攻めることを意識していました。自分のところで抜けるようであれば、しっかり1対1していました」と話す3年生の #11 戸坂透也は18点のゲームハイで勝負を決めた。 グループステージは東北学院大学と関西学院大学に連勝した要因について、「ディフェンスをしてリバウンドでセカンドオプションを与えさせないように、特に終盤はコート内でも話していました。留学生もウイング陣もみんなでリバウンドを取りに行って、相手を好きにさせないディフェンスをしたのが勝ちにつながったと思います」と戸坂は話し、チームの成長を実感する。 「いろんなチームがいる中で、自分たちに分がないところやピックでアタックできないときにどうするべきかをチームで話し合って解決しています。それにより、どんどん成長していたのかなと思います」 はじめてグループステージを突破したが、ベスト16を目標に環太平洋大学にとっては通過点でしかない。ベスト16を懸けた1回戦の相手、神戸医療未来大学とは直前にも練習試合を行った。「相手の特徴は分かっています。そこをしっかりもう1回アジャストして、しっかり勝ち切りたいと思います」と戸坂は勝利を目指す。しかし69-95で敗れ、練習試合と同じ結果で敗退となった。 身近にプロクラブがある環境だけに、もちろん戸坂もプロ志望だ。ドラフト元年について、「今は特に意識していないですが、勝ち上がっていくなかでいろんな人が見てくれると思っています。そこで自分がどう表現できるのかを、これからも試していけるようにしたいです」と一つひとつ階段を上り、今は目の前を見据える。プロ志望ある3年生たちも同じ考えの選手は多い。戸坂のアピールポイントは「1on1が得意なので、ドリブルを生かして相手を抜くこと。ディフェンスが寄ってきたらパスをさばいて、まわりを見ながら自分の得意なことを生かせられるようにがんばっていきたいです」と目標に向かってさらに己を磨く。