練習を終え引き揚げる大谷（撮影・沢田　明徳）

　ドジャースとヤンキースが81年以来、43年ぶりに激突する第120回ワールドシリーズ（WS、7回戦制）が25日（日本時間26日午前9時8分開始）に第1戦を迎える。ドジャースの大谷翔平投手（30）は24日（同25日）、舞台となる本拠地で最終調整し、最後は屋外ダッシュ4本で締めくくった。悲願のWS制覇へ向けた「SHO―TIME」が、いよいよ幕を開ける。 　日も沈んだドジャースタジアムの午後6時過ぎ。室内調整に専念していた大谷が突如、グラウンドに現れた。同僚のフリー打撃中にスイングに合わせて、一塁から二塁、二塁から三塁に向かってベースランニング。最後は右翼芝生で約50メートルのダッシュを4本繰り返し、最終調整を終えた。 　「いよいよ始まるなと、興奮している気持ち。特別な試合。初めてなので、なるべく冷静に自分のプレーをできるようにしたい。集大成で勝って、最高の終わり方ができればなと思います」 　珍しく高鳴る鼓動を抑えられないようだった。韓国ソウルでの開幕戦を除き、グラウンドで調整したのは今季初めて。一足先に緊張感で張り詰めたグラウンドの空気を全身で吸い込んだ。21年には大リーグで7年ぶりとなるコミッショナー特別表彰を、ブレーブスとアストロズのWS第1戦の会場で受けた。「今までは見る側だったので楽しみ。悔しい思いの中で、今年は自分がプレーできる喜びをフィールドで出せたら」と振り返った。 　20日のメッツとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦から中4日。本拠地では室内打撃やウエートトレなどずっと体を動かしていたが、たぎる思いと休養のバランスを整えるのは簡単ではない。「プレーオフをやってきた熱量、チームも個人もそういう熱量を保ちながら休みを入れないといけない。そこのバランス、実戦の感覚も含めて継続しながら休むというのが、ちょっと特殊というか難しかった」。この経験がまた大きく成長させる。 　メジャー7年目で初のポストシーズンは、打率・286、3本塁打、10打点。得点圏では9打数6安打、打率・667と驚異的な勝負強さで打線をけん引する。WSでアーチを描けば、日本選手では09年にMVPに輝き、ヤンキースを世界一に導いた松井秀喜以来、2人目。それでも、個人記録は見ていない。 　「勝てば何でもいいという状況。自分の状態がどうとか、打てた、打てないとかは関係ない。全て勝ったか、負けたかで決まるのでそこ次第。ファンの歓声や熱気を凄く楽しみにしている。それを力に変えられるように頑張りたい」 　81年以来、43年ぶり12度目の東西名門球団対決。その中心に今か今かと戦いの時を待ちわびる背番号17がいる。（柳原　直之） 　≪米老舗スポーツメディア発表　ジャッジに“先勝”大谷MVP≫米老舗スポーツメディア「スポーティング・ニューズ」が大リーグの年間最優秀選手を発表し、史上初の「50本塁打＆50盗塁」を達成した大谷が3年ぶり2度目の受賞を果たした。58本塁打のヤンキース・ジャッジを抑えた。1936年からの同賞で、複数回受賞は11人目。大谷はナ・リーグのオールスターチームにもDHで選出された。今季は54本塁打、130打点で2冠。打率.310もリーグ2位と3冠王に迫り、59盗塁をマークした。