大谷翔平の“デコピン始球式”だけではない!日本球界で愛された「ボール犬」 そして「ボールモンキー」も
大観衆に驚き“2軍落ち”してしまった「エルフ」
前出のミッキーに対抗する形で、翌2006年、ロッテのベースボールドッグとしてデビューしたのが、ラブラドールレトリバーのエルフ(メス)である。 テレビ東京系の動物番組「ペット大集合! ポチたま」に出演した旅犬・まさお君と番組で公募した花嫁・ダイアンとの間に生まれた子犬で、球団が番組と提携する形でファンサービスの一環として実現。愛犬家のボビー・バレンタイン監督も「アメリカではたくさんのベースボールドッグが活躍している」と後押しした。 3月30日の日本ハム戦、生後9ヵ月(人間に換算すると11歳)でデビューをはたしたエルフは、前年限りで現役を引退した初芝清氏に始球式のボールを届けるのが任務だった。 ところが、エルフは初芝氏が待つマウンドには向かわず、一塁から二塁に走って、“盗塁成功(? )”。ショートの西岡剛が見かねてボールを奪い、事なきを得たと思いきや、今度はセンター方向に走り出すなど、迷走、また迷走だった。 その後、5月12日の広島戦の始球式では、ボールを無事マウンドに運び、エルフが登場した試合はいずれもロッテが勝利したことから、“勝利の女神”ともてはやされた。 さらに6月4日の広島戦では、チームの広島遠征に帯同し、先輩・ミッキーと競演。始球式を務めるロックバンド「くるり」のボーカル・岸田繁にボールを運ぶのが任務だったが、本拠地・千葉よりも多い2万1205人の大観衆に驚いたのか、ベンチにいた“教育係”里崎智也のもとへ助けを求めるように引き返してきた。 最後は関係者に連れられて何とか任務をはたしたものの、ミッキーが審判へのボール運びをスムーズに行っているのとは、あまりにも対照的で、「このままじゃ、ベースボールドッグとして定着するのは難しい」(関係者)と“2軍落ち”が決定。その後、テレビ番組の“子犬しつけ王選手権”で優勝した遠藤和博トレーナーから再教育を受けて“1軍復帰”をはたし、2007年には写真集「エルフ! マリ-ンズドッグ26+1」(ジュリアンパブリッシング)も発売された。