ピレリ、現行F1タイヤに不満爆発のラッセルと話し合い。コンパウンドごとの”当たり外れ”は当然?
アゼルバイジャンGPを振り返る
アゼルバイジャンGPで何が起こったのかを分析したイゾラ主任は、ラッセルがハードタイヤで非常に優れたペースを見せたことには、様々な要因が絡んでいると語った。 「ミディアムでのジョージのペースが良くなくて、ハードではより速かったのは事実だ」とイゾラ主任は言う。 「しかし、ペースは様々な要素の組み合わせで決まる。マシンのセットアップも非常に重要だし、コース路面の進化も重要。ドライバーが最初の2~3周でタイヤをどう扱うかも重要な要素で、バクーではそれがハッキリと見えた」 「ハードコンパウンドでの最後のスティントを見ると、ルクレール(シャルル・ルクレール/フェラーリ)のようにプッシュせざるを得ないドライバーもいた」 「彼は追いかける側の立場で、ハードコンパウンドをかなり使い込んでいた。そして最後の数周は、トップを走っていたオスカー(ピアストリ/マクラーレン)のペースについていくことができなかった」 「ジョージは最初の数周はハードコンパウンドを温存して走り、あまりプッシュしていなかった。そして終盤は非常に速かった。ミディアムではそうではなかった」 「正直なところ、大半のマシンを見ても、コンパウンドの挙動におかしなところはなかった。マクラーレン、レッドブル、フェラーリなどトップチームのデグラデーション(性能劣化)レベルを比較したが、非常に近かった。遜色ない」 「タイム差も確認したし、ミディアムやハードもコンパウンドの挙動を確認した。奇妙なことは何も見つからなかった。バクーで使用されたふたつのコンパウンドは期待通りに機能していたと思う」
タイヤ特性による性能差は当たり前?
イゾラ主任は、異なるタイヤコンパウンドでマシンのパフォーマンスが異なるのは当たり前で、ドライバーのフィーリングも全く違うと説明した。 「ハードとミディアムで言えば、ハードコンパウンドのほうが余裕がある」とイゾラ主任は言う。 「タイヤにストレスを加えれば加えるほど、タイヤは安定する。つまりタイヤをオーバーヒートさせても、コンパウンドが機能する範囲が広いから、その影響は少ない。だからよりプッシュできる」 「ミディアムやソフトでは、この(オーバーヒートの)影響はかなり大きくなる。サーキットによるが、影響による差はかなり大きくなる」 「チャンピオンシップで少なくとも4チームが非常に接近していると、レースでは0.0001秒が鍵になるというのも事実だ。そしてその差は目に見えるモノとなる」 「コンパウンドごとにパフォーマンスが異なることがあるのは、仮にひとつのコンパウンドで最適なセッティングをした場合、もうひとつのコンパウンドでは同じ結果が得られないリスクが潜んでいるからだ。よりタイヤにストレスを与えてオーバーヒートさせ、デグラデーションを加速させれば、グレイニング(ささくれ摩耗)につながる」
Jonathan Noble