著名人の声でテキスト読み上げできるElevenReaderアプリで、「オズの魔法使い」主演に原作小説を日本語で読み上げてもらったら(CloseBox)
音声合成のトップを走っているAI企業といえば、Elevenlabsの名前が挙がるでしょう。2023年の時点で、特定個人の声の特徴を学習するサービスを提供していました。 【この記事の他の写真を見る】 そのElevenlabsが、書籍やオンライン記事などを、有名人を含むバラエティに富んだ声で文章を読み上げる無料サービスをiOSとAndroidアプリ「ElevenReader」で提供しています。 声を提供しているのは、サー・ローレンス・オリヴィエ、ジュディー・ガーランド、ジェームズ・ディーン、ジョン・ウェイン、バート・レイノルズといった名優や、著名な詩人、作家、そしてリチャード・ファインマン博士など。 最近、ここに伝説的なサイケデリックロックバンドであるグレイトフル・デッドのリーダーであったジェリー・ガルシアが加わりました。故人のレガシーをAIで甦らせるプロジェクトが多く立ち上がりつつある中、このサービスでミュージシャンの登場は初めてということで、注目を集めています。 アプリ内で提供されているシャーロック・ホームズなどの小説、MIT Technology Reviewなどのブログをこうした著名人を含む声で読み上げて、無料でオーディオブックのように聴くことができます。著名人ボイスも追加料金はかかりません。 読み上げるテキストは、URLでの指定でも、テキストファイルをアップロードしても大丈夫。試しに、「オズの魔法使い」の原作(Project Gutenberg)をアプリに読み込んで、映画版「オズの魔法使い」(1939年公開)の主演を務めたジュディー・ガーランドに読み上げてもらいました。 文脈に合わせて感情豊かに朗読してくれます。 これは、英語話者が英語コンテンツを読み上げた例ですが、他言語でも可能です。ElevenReaderは32言語に対応しており、そこには日本語も含まれます。声として提供されている中に日本語話者はいませんが、Elevenlabsの音声合成は多言語に対応しているのでこれが可能です。 次は「オズの魔法使い」日本語訳(プロジェクト杉田玄白)をインポートして読み上げてもらいます。声のトーンは英語版とたしかに似ています。発音は、日本語を学習中の外国の方が読んでいる感じです。 ちょっと残念なのは、感じの読み間違いが頻繁にあること。それも、読み方の違いだけでなく、全く異なる読み方をしてしまうことがよくあるのです。 やむなく、間違えたところはひらがなかカタカナに変更して、再度トライしました。 これは、初期のSunoや現在のUdioでもよくあった現象で、漢字の読み方についてはまだ洗練されていないようです。その場でテキストの書き換えができれば、ひらがなに置き換えることもできるのですが、アプリ内でのテキスト修正はできないので、ちょっと面倒です。 なお、アプリ内で生成した音声は他のアプリに持っていけない仕組みになっています。Elevenlabsのサービスをサブスクしていれば、そこに登録されている声でText to Speechをすることができますが、セレブボイスはそこには含まれていないようです。 権利所有者への配慮はこのようになされているようです。 「オズの魔法使い」を英語、日本語で読み上げた作例はこちら。 シェイクスピア作品はローレンス・オリヴィエ卿にお願いするとして、どんなサイケデリック作品をジェリー・ガルシアに読み上げてもらいましょうか。
TechnoEdge 松尾公也