NBAキャリアはわずか2年…2022年ドラフト1巡目16位指名のAJ・グリフィンが現役引退を検討
ヒューストン・ロケッツに在籍する21歳のスモールフォワード、AJ・グリフィンがバスケットボールから引退する可能性があるようだ。『The Athletic』の名物記者シャムズ・シャラニア氏は、同選手が“真剣に”その選択肢を検討していると報じている。 また、シャラニア氏によれば、所属球団のロケッツも同選手の引退に備えているようで、報道の信憑性をより裏付けている。 ダラス出身のグリフィンは、ミルウォーキー・バックスを指揮したエイドリアン・グリフィンの息子であり、高校時代からマクドナルド・オール・アメリカンやジョーダン・ブランド・クラシックに選出される全米でも指折りのプレーヤーだった。大学はケンタッキー大学をはじめとする有名校からオファーをもらうなか、カイリー・アービングやジェイソン・テイタムを輩出した全米屈指の名門デューク大学へ進学。そして、2022年のNBAドラフトにアーリーエントリーし、1巡目16位指名でアトランタ・ホークスへと入団した。 グリフィンのルーキーイヤーは順風満帆で及第点以上のものだったと言えるだろう。初年度ながらデビューシーズンは72試合に出場、うち12試合はスターターに抜擢され平均19.5分出場8.9得点2.1リバウンド1.0アシスト、3ポイント成功率39.0パーセントを記録。IQの高さやオフェンスでの的確な判断力はさすがはデューク大学仕込みのプレーヤーであり、オールスターウィークエンドではライジングスターゲームにも選出されたほか、新人ながらブザービーターを2度沈める勝負強さも持ち合わせている。 しかし、グリフィンも魔の2年目でつまずいた。ケガや個人的な理由によって、出場試合数はわずか20試合にまで激減し、スタッツも平均8.6分出場2.4得点まで低下。チームはそんなグリフィンの再起に期待して、選手としてリズムを取り戻すためにGリーグでも数試合のプレー機会を与えた。 だが、今年6月にホークスはグリフィンとの関係に別れを告げて、ドラフト2巡目44位指名権と引き換えに、同選手をロケッツへとトレード。フレッド・バンブリードやディロン・ブルックスといった経験豊富なリーダー格と若手が融合する環境で、選手としての復活が期待されていたが、その矢先での引退報道には驚きを隠せなかった者も少なくないはずだ。 世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBAにおいて、そのキャリアを継続すること自体がもはや常人離れしているのかもしれない。選手が高みを目指すのは当然のことのように思われているが、さまざまなプレッシャーと向き合いながら契約を勝ち取ってロスターに残り続けるためには、並大抵ならぬ精神力が必要なのである。 NBA選手であり続けることよりも、自分が自分らしく生きられる道を選ぶのは人生における最善の選択と言える。関係者たちは皆、グリフィンの決断を尊重するに違いない。 文=Meiji
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