寝たきり社長の働き方改革(11) 月曜日の朝、仕事に行きたくないあなたへ
「仕事に行きたくない……」。月曜日の朝、こう思ったことはないだろうか。筆者も人間なので、そう考えたことが何度かはある。 【動画】上場目指す“寝たきり社長”24歳、「体が動かなければ、頭を働かす」 筆者は、年中寝たきりだとはいえ、人と会う機会がとても多い。クライアントとの打ち合わせ、年に何十回と呼ばれる講演会、そしてマスコミからの取材オファーも数多くある。
筆者のような重度障がい者が働けることは恵まれていることだし、今の状況が当たり前だと思ったこともない。そういった感謝があったとしても、実際、仕事には理屈では割り切れない大変さがある。繁忙期には出張続きによる過労で体を壊した。時には命を落としかけ、医者からもストップをかけられたことがあった。 「佐藤さんのような難病だったら、たとえ働かなくても社会は許してくれるよ」。そう言ってくれる知人はいる。確かにそうかもしれない。最低限生きていくだけなら、障がい者手当や生活保護をもらってほそぼそと過ごす……なんてことも出来ないわけではない。 でも働くことには強いこだわりを持っている。なぜなら、筆者にとって「働く」ことは「お金」とイコールではないからだ。もちろん、お金を稼ぐことは大切だし、綺麗ごとを抜きにしても、お金は生きていく上で必要だ。それに、お金はあって困るものでもない。 でも、一度考えてみてもらいたい。働いて得られるものは「お金」だけなのだろうか。人は働くことで「お金」以外の「何か」を手に入れているのではないか。 その「何か」は、人によって違うだろうが、筆者の場合は「経験と人脈」だった。人と関わることが多くて大変だが、 その代わり、かけがえのない出会いがたくさんあった。それに、その出会いには自分自身を成長させる多くの学びもあった。そして、それが筆者の人生を大いに豊かにしてくれた。 だから、「あなたの経験と人脈を1億円で売ってください」と言われたら、迷うことなく断るだろう。それはお金には換えられない財産だからだ。 仕事に行きたくないあなたに問いたいのだ。「お金」に換算できない財産を築けているだろうか? いま働いている会社にお金ではない財産が本当にないのかを探すべきなのだ。