19年ぶりの女性外務大臣 就任から怒濤の3か月を経た“上川流おもてなし外交” 2024年はどうなる?
第二次岸田再改造内閣での女性積極起用の目玉人事となった、上川陽子外務大臣。就任早々、世界を舞台に日本外交を展開している。田中真紀子氏、川口順子氏以来19年ぶりの女性外務大臣、「上川流外交」とは。その“理想”と“限界”を探る。
■19年ぶりの女性外務大臣 怒濤の幕開け~就任5日でニューヨークへ
2023年9月に発足した第二次岸田再改造内閣で、外務大臣に起用された上川陽子氏。2023年は日本が「G7議長国イヤー」だったことや、直後に国連総会を控えていたため「林大臣続投」との見方が外務省内では広がっていた。 しかし、サプライズ人事として、改造の目玉となる女性閣僚としての“抜擢起用”となった。岸田首相は理由を「国際人脈が豊富で、閣僚としても経験豊富」と説明した。 「林前大臣をはじめとして、先人たちが築いてきた日本外交の成果をしっかり引き継ぎたい」(上川外相)と、就任わずか5日後に、国連総会のためニューヨークを訪問。5日間で16人の首脳や外相らと相次いで会談を行ったが、ある外務省幹部は「そつなくこなし、とても歓迎されて良い雰囲気だった」と評価した。 「とにかく無我夢中で働こうと駆け抜けている」(上川外相)との言葉通り、臨時国会もあった中で、就任から3か月で12の国と地域を訪問している。
■中東訪問にかけた思い
就任2か月となる11月上旬。上川大臣はイスラエル、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)、ヨルダンを訪問。イスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の衝突以降、日本の閣僚として初めての現地訪問となった。 ヨルダンでは、人道危機が続くパレスチナのガザ地区出身で、家に戻れなくなっている子供たちと面会。また、イスラエルでは「ハマス」に拘束された人質の家族を訪問した。ある外務省関係者は「母のような温かさで握手や抱擁を交わしていた姿が印象的だった」と語った。 出発前、「罪のない人々が被害に遭っていることに、大変心を痛めている。外交努力を粘り強く続けたい」と悲痛な面持ちで語った上川大臣。ある外務省関係者は「訪問は、上川大臣の強い希望で実現した」と説明。別の関係者は「現場の声を聞いてニーズをしっかりと的確に把握したいという、大臣の思いが体現された外交だった」と評価した。