『民衆の歌』ほか豪華な歌唱に期待高まる 現・帝劇最後の『レ・ミゼラブル』製作発表会見に総勢84名キャストが勢揃い
ミュージカルの最高峰のひとつであり、ミュージカルに馴染みがない人でもこの題名は聞いたことがあるだろう作品『レ・ミゼラブル』。日本では1987年の初演以降上演を重ね、これまでの上演回数は3,459回を数える、まさにミュージカルの金字塔だ。この名作が3年ぶりにやってくる。10月16日、2024年出演キャスト84名が勢揃いし、製作発表記者会見が東京・帝国劇場にて開催された。作品のホームとも言うべき帝国劇場は来年より建替えに伴う休館に入るため、今回の上演はキャストやファンにとって特に大切な公演になりそうだ。 【全ての画像】ミュージカル『レ・ミゼラブル』制作発表会見の模様(全30枚) 物語は19世紀初頭、革命後の動乱のフランスを舞台に、パンを盗んだ罪で19年間投獄されていたジャン・バルジャンをはじめ、革命を志す学生たちや、苦しい生活を送る民衆たちの姿から「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」などのテーマを描き出していくもの。この日の製作発表は報道陣のほか、一般オーディエンスも参加。なんと500名の参加枠に、約15,000通の応募があったとか。人気の高さが伺える。 会見では最初に劇中歌5曲が披露された。まずは主人公ジャン・バルジャンに初キャスティングされた飯田洋輔による『独白』。劇団四季出身で、四季時代は『美女と野獣』『オペラ座の怪人』など大作ミュージカルの主役を数々務めた実力者が、さすがの美声と豊かな声量で難曲を響かせる。 続いて作品を代表する名曲『夢やぶれて』。悲運の女性ファンテーヌが歌うソロナンバーだが、今回ファンテーヌ役を務める昆夏美、生田絵梨花、木下晴香は3人全員が初役となる。この日は3人で、本番の舞台ではないこの日限りのハーモニーも織り交ぜての披露。いずれもミュージカル界で欠かせないスターらしく、安定した歌声を聴かせてくれた。続いても、よく知られた名曲『民衆の歌』。リーダー・アンジョルラスを中心に、学生たちが決起する際に歌われる勇壮なナンバーだが、湧き上がる熱を感じさせるパワーあるアンサンブルの歌声の中、アンジョルラス役に抜擢された小林唯が力強く端正な声を真っすぐ届けた。 さらに、学生のひとりマリウスに恋をする少女エポニーヌの切なくも美しいナンバー『オン・マイ・オウン』を、エポニーヌ役の清水美依紗とルミーナのデュエットで。ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』エレナ役も記憶に新しい清水、日本出身ながらデビューは2023年の韓国版『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役という異色の経歴の持ち主ルミーナ、ともに深い表現力と歌声の美しさを兼ね備えていて聴きごたえ抜群。 最後に、キャストが一堂に会する大ナンバー『ワン・デイ・モア』をオールキャストで披露。ソロパート歌唱はバルジャン役:佐藤隆紀、ジャベール役:小野田龍之介、エポニーヌ役:ルミーナ、マリウス役:山田健登、コゼット役:水江萌々子、テナルディエ役:染谷洸太、マダム・テナルディエ役:樹里咲穂、アンジョルラス役:木内健人がそれぞれ担当した。 音楽監督・山口琇也が指揮をする迫力の歌唱披露は、製作発表記者会見とは思えぬミニコンサートのような豪華なひと時。2024年キャストに期待感を抱くに充分なアピールとなった。