守田英正がいないと危うい…。サッカー日本代表には“ムラ”が生じている。W杯で致命的になり得る課題【西部の目】
⚫️日本のビルドアップの解決策は?
例えば、3バックの間にボランチの1人が下りて4バックに可変し、さらに両サイドのDFを前に出す。そうすればサイドで一時的に3対2の形を作れる。 田中と遠藤がそういう形を作ろうとしている場面もあったが、散発的で流れを一変させるには至らなかった。 ここまでの5試合でも、初戦の中国戦を除く4試合は相手の守備隊形にビルドアップを封じられそうになっていた。その都度、守田の機転とそれに連動する鎌田のポジショニングで事態を好転させていたのだが、2人のいない今回はそれがスムーズにできていなかった。 緻密に計算された守備で健闘した中国だったが、攻撃はロングボールを蹴ってセカンドボール回収を狙うシンプルなアプローチで驚きはない。しかし、日本に対してはこれが意外と効果的でもあった。 後半立ち上がりの47分にはGKからのロングボールで攻め込み、48分には日本のハイプレスをくぐって持ち込み1点を返す。 だが、日本はすかさず反撃に転じ、中村のサイドチェンジから伊東と久保で右サイドを攻略。伊東の鮮やかな切り返しからのピンポイントのクロスボールを小川がヘディングで押し込み3-1と突き放した。
⚫️浮き彫りとなった2つの課題
64分、南野拓実に代わって鎌田、中村から三笘薫と2人を交代。70分、中国はまたもロングボールをきっかけに際どいシュートを放つがGK鈴木彩艶がセーブ。この後、ウイングバックの伊東と三笘が押し下げられて5バック化する。この2人を自陣に下げてしまうのでは意味がない。 すると鎌田がポジションを下げて田中、遠藤とのパスラインをつなぎ、ボール支配を回復させる。 76分に伊東→橋岡、小川→古橋亨梧。ここでいったん4-2-3-1に変化した。中国はプレスの仕方がわからなくなり、ようやく日本が完全にボールを握る流れになった。 84分に久保から前田大然に代わると、再び3バックに戻る。変幻自在の鎌田、縦横無尽に快足をとばす前田、虎視眈々と裏抜けを狙う古橋に対して、すでにガス欠状態になっていた中国は振り回されるだけ。日本は余裕を持って3-1で勝利した。 個々の能力の高さ、選手層の厚さで中国をねじ伏せたわけだが、ワールドカップ(W杯)本大会を考えると2つの課題が浮き彫りになっている。