「角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』」を監修…東京大学名誉教授・羽田正「歴史の人物ってろくな人がいない」その真意とは?
山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。12月18日(水)の放送は、東京大学名誉教授の羽田正(はねだ・まさし)さんが登場! 自身が監修している「角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』」などについて伺いました。
◆世界史を理解するための新手法“グローバル・ヒストリー”
れなち:羽田先生が監修されている「角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』」には、国や地域にとらわれない世界史を理解するための新しい手法「グローバル・ヒストリー」が取り入れられていますが、これはどういうものですか? 羽田:日本史がその典型なんだけど、一般的に歴史を学ぶときは1つの国を縦、つまり“時間”に沿って学ぶことが多いです。だけど、今起こっていることはすべて必ず世界全体とつながっているわけだから、私たちは世界全体を見ないと何も判断がつかないですよね。そうすると“過去はどうだったのか”と見るときも、一部の歴史だけを見ているのでは足らないんです。いわば“横から世界を見る”。つまり、縦の歴史に対して横の歴史がグローバル・ヒストリーかなと思っています。 れなち:テーマの設定自体も横を意識したものが多かったりしますか? 羽田:そういうふうに努力しました。もともと、一番のターゲットが“高等学校の生徒に受験に活用してもらう”という意図があったんですよ。そうすると高等学校の教科書を下敷きにするので、私の勝手な解釈や理論で全部できない。だから、7~8割ぐらいのところでなんとかやっています。ですので、受験勉強に役立つと思いますし、世界史を学んだ人が読んでも新しい発見があると思います。
◆歴史上の人物はろくな人がいない!?
れなち:「角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』」全20 巻に加えて、今年は「別巻 まんが人物事典」が新たに発売されましたが、こちらはどんな一冊になっていますか? 羽田:“人物”に焦点をあてて、世界史で有名な52人の詳しい生涯を描いています。さらに、その52人に関係してくる人も合わせて、全部で250人ぐらいの生涯がわかるようになっています。 れなち:その52人はどのようにチョイスしたのですか? 羽田:これがなかなか難しかったんですよ。というのも、世界史の教科書に載っている人物からリストアップしていくと、白人の男性の政治家ばかりになっちゃうんですよ。 れなち:勝者の歴史ですね。 羽田:そうそう。だから、編集者と「女性も3割は絶対に入れましょう」ということでディスカッションしてきましたが、苦労しましたね……。(選んでも)教科書に出ていないから入れられない人もいたりして、教科書自体をもう少し変えないといけないなと思いました。 れなち:羽田さんが歴史上の人物で尊敬している人はいますか? 羽田:よく聞かれるんだけど……難しいんですよ。だって、歴史の人物ってあまりろくな人がいないんですよね(笑)。 れなち:ハハハ(笑)。 羽田:知れば知るほど“あまり好かんな~”って感じる人が結構多くて。 れなち:知りすぎているからこそですね(笑)。 羽田:(真実か)どうかは分からないですけど、名前が残るというのはそういうことなのかなという気がします。 (TOKYO FM「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」2024年12月18日(水)放送より)