3代目トヨタ ヴィッツは市場が求める「よくできたコンパクトカー」に進化していた【10年ひと昔の新車】
クルマの停止と同時にすぐエンジンが止まるアイドリングストップ
2010年12月、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」(現行ヤリス)がフルモデルチェンジし、3代目となる新型が登場した。6年ぶりの全面刷新でヴィッツはどう変わったのか。デビュー間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年3月号より) 【写真はこちら】6年ぶりにフルモデルチェンジされて登場した3代目トヨタ ヴィッツ。取材車は1.3 F“SMART STOPパッケージ”。ボディカラーはライトブルーマイカメタリック、内装色はジンジャー。(全5枚)
ヴィッツは1999年に初代モデルが発売されたが、ここまで12年、世界での販売累計は350万台にも達している。トヨタの屋台骨を支えるモデルに育ったわけだが、未来を見通してみると、プリウスと並びさらにその存在の重要度が増していくことは間違いない。トヨタの将来はヴィッツにかかっていると言っても決して大袈裟ではないと思う。そうした意味で期待は大きく、試乗に行くのが楽しみだった。 試乗したのはラインナップ中、唯一アイドリングストップ機能を持つ、1.3 F“SMARTSTOPパッケージ”。エンジンはデュアルVVT-iを採用した1NR-FE、iQの1.3Lと同タイプでヴィッツにとっては初搭載となる。最高出力は95psで最大トルクは12.3kgm、そして注目の10・15モード燃費はマーチのアイドリングストップ機能付の26.0km/Lを上回る26.5km/Lだ。 アイドリングストップ機能付のコンパクトカーは、マーチをはじめ最新の欧州車など何台か乗っているが、ヴィッツで顕著なのはクルマが停止したと同時にすぐエンジンが止まることだ。通常なるべく早く止まった方がいいのだが、それがこれまでできなかったのは、停止しかけたがまたすぐに走り出すときの制御が難しかったためだ。 ヴィッツはスターターに常時かみ合い式のピニオンを採用してこの問題を解決した。これにより早く止めて、さらに早くスタートすることが可能になった。また、この機能はスイッチひとつでキャンセルすることもできる。夏場の渋滞時にエアコンを効かせたいときなどに、このキャンセルは有効だ。 また、アイドリングストップ機能付モデルは、VSC&TRCが標準装備となる。これは坂道発進時などでの安全対応のためだが、それで同機能なしのグレードに対して6万円高だから、かなり買い得感がある。