天の川銀河で「ダイソン球」の候補を7個発見? 違ったとしても興味深い発見
■ダイソン球ではなかったとしても面白い発見
もちろん、今回の研究だけでは7個の候補がダイソン球であるかどうかを判断することはできません。むしろ、7個ともダイソン球ではない可能性の方がずっと高いでしょう。とはいえ、仮にこの7個がダイソン球ではなかったとしても、それはそれで面白い発見です。 今回見つかった7個のダイソン球候補は、いずれも太陽よりもずっと軽くて暗いM型の恒星(赤色矮星)です。ダイソン球ではないと否定するには、恒星の周りを大小さまざまな岩石の破片が周回しているというのがもっともらしい説明です。しかし、そのような実例は未だに1個も見つかっていません。どうしてそこまで珍しいのか、詳しい理由は判明していません。 今回の研究を通じて見つかった天体は、今まで未発見であった「破片に囲まれたM型星」である可能性があります。今回の発見をきっかけに詳細な観測を行えば、珍しい理由を解明する研究が行えるようになるでしょう。 いずれにしても、7個の候補がダイソン球であると確定させるには、追加の観測が必須となります。その過程でダイソン球ではないと判明する可能性が高いとはいえ、天文学的に興味深い天体である可能性は残されています。 Source “Project Hephaistos”. (Uppsala University) Matías Suazo, et al. “Project Hephaistos – II. Dyson sphere candidates from Gaia DR3, 2MASS, and WISE”. (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society) Matías Suazo, et al. “Project Hephaistos – I. Upper limits on partial Dyson spheres in the Milky Way”. (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society) Erik Zackrisson, et al. “SETI with Gaia: The Observational Signatures of Nearly Complete Dyson Spheres”. (The Astrophysical Journal) Erik Zackrisson, et al. “Extragalactic SETI: The Tully-Fisher relation as a probe of Dysonian astroengineering in disk galaxies”. (The Astrophysical Journal)
彩恵りり / sorae編集部