「報道の自由度ランキング」世界10位ドイツの現実 イスラエル批判をめぐるメディアのジレンマ
10月8日、ドイツの大手メディアはイスラエルの国旗を掲げて「全面的な連帯」を表明した(アクセル・シュプリンガーのXより)
2023年10月7日、イスラム組織ハマスのテロ攻撃によって、イスラエルで1200人が死亡すると、ドイツ最大級のメディア企業アクセル・シュプリンガーは次のような声明を出した。 「テロ組織ハマスによる10月7日のイスラエル攻撃により、数百人の市民が死亡し、数千人が負傷したことを強く非難する。アクセル・シュプリンガーはイスラエルと全面的に連帯する」 声明と共に、社屋にはイスラエルの国旗を掲揚。隣にはロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナの国旗も掲げられている。10月7日の後、イスラエルの攻撃によって、子供や女性などの市民を含めて約4万人が死亡しているが、 同社がガザの市民に連帯を表明するような声明を出したことはない。アクセル・シュプリンガーは、保守系の有力メディア「Die Welt」や、人気タブロイド紙「BILD」のほか、「Politico」や「Business Insider」を傘下に抱える巨大メディア企業だ。そうしたメディア企業が、紛争の当事国に一方的な連帯を示す声明を出すのは異例と言えるのではないだろうか。例えば、ニューヨーク・タイムズが、10月7日のハマスの攻撃に対し、同様の声明を出すようなことはしていない。
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曽我太一