倉田保昭「ブルース・リーとの出会いと別れ、帰国後は『Gメン’75』に草野刑事役に。旧友ジャッキー・チェンとの再会でふたたび香港へ」
◆最新作『夢物語』を上映 これは僕の劣等感から言うことなんですが、日本ではアクションをやっていると頭がないように思われるといいますか、「もっとお芝居のほうを深くやったら?」と思われる状況であるような気がするんですね。 実際にアクションシーンがある作品に出ても、始まった途端に「もう時間がないのでこのへんで」と強制的に終わらされてしまう。香港映画だったら、まだ準備体操もしていない段階ですよ(笑)。観る人が求めていないのか製作者が求めていないのかわかりませんが、残念だなあと思います。 テレビは細かな制限もあるだけに、なおさら難しいですよね。暴力的なシーンは悪影響を与えるから良くないと言われますし。その点、僕らがやっていたような香港映画は殴ってもあまり血が出ないし、明るいんですよ。だから子どもでも観られる。ナイフで刺して血がドバーッでは教育上良くないですが、そういうシーンはなかったから。 現在僕は、東京にある「創武館道場」で週3回、空手とアクションを、大阪ではアクションを教えています。通っているのはドラマや映画・舞台でアクション俳優やアクション監督を目指す人たちですね。 最新作は『夢物語』という短編映画です。コロナ禍で現場の仕事が途絶えたことで、現場の仕事はないわ、このままでは体が衰えてしまうと思い、親類の竹やぶを一週間借りて撮影しました。 15分という短い作品を上映するところもないので、海外の映画祭に出品してみたら2か所で賞をいただいて。そして今回、配給会社の方が『帰って来たドラゴン』と同時上映という形にしてくださり、皆さんに観ていただけることになりました。今も新作を撮っている最中で、こちらは今月中に完成させて上映します。
◆体型は変わっておらず、今も50年前の服が着られます 僕は78歳になりますが、今も毎日2時間のトレーニングを日課にしています。これはどんなことがあってもやっていますね。メインはストレッチで、あとは下半身の強化。マシンで歩いたりしています。 上半身は多少衰えてもなんとかなりますが、下半身はそうはいきません。立っていられないとか、片足を上げたらよろけるとか、階段を昇れないとかでは困りますから。 健康のため、お酒とタバコはやりません。と言いますか、もともとお酒は飲めないんです。だから昔も今も、打ち上げなどで皆がビールで「乾杯!」とやっている時も、僕だけはオレンジジュースで「カンパーイ!」とやっています。(笑) 食べ物は自分でコントロールして、夕方6時以降は食べません。体型は変わっておらず、今も50年前の服が着られます。体調もすこぶる良好で、家族がコロナに感染した時も僕だけはかかりませんでした。もともとがタフなんですね。ジャッキー・チェンには「僕より8歳も上なのに、なんで!?」とよく言われます(笑)。丈夫に生んでくれた両親に感謝です。 昔はアクションシーンで跳んでいる最中に「空中に2分くらい止まっていられるんじゃないか?」と思ったこともありましたが、今は「現役でやれるのはせいぜい80歳までかな」と思っています。来年はサモ・ハン・キンポーと一緒に1本撮ることになっていて、再び撮影のために海外に行く予定です。 7月に公開になる『帰って来たドラゴン』では50年前の僕を、そして『夢物語』は今の僕の姿をお見せしています。『夢物語』でも殺陣をはじめとしたアクションを披露していますが、自分としては「見劣りしていないのでは?」と思っているのですが、どうでしょう?(笑) ぜひ映画館でご覧になって、判定していただければ幸いです。 >>前編はこちら (構成=上田恵子、撮影=奥西義和)
倉田保昭
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