1ステップで「マイナス感情」をきりかえるコツは?
マイナス感情を「きりかえ」て、自分の武器にしよう。 そう語るのは、著書「言いかえ図鑑」シリーズが累計50万部の大ベストセラーとなった公認心理士の大野萌子さん。この「マイナス感情」とは、不安や緊張、怒り、悲しみ、悔しさ、怖れ、恥ずかしさなどを指します。 これらの感情をきりかえ、ビジネスシーンをスムーズに回すテクニックを、近著『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』(扶桑社)から紹介します。
「忘れる、無視する、無理やりポジティブに」は逆効果
産業カウンセラーでもある大野さんですが、ビジネスパーソンから寄せられるのは「自分の感情がうまくコントロールできない」「ネガティブな感情に振り回されてしまう」といった悩み。 そんなネガティブな気持ちを「忘れる、無視する、なかったことにする、無理やりポジティブな気持ちにする」のは、実は逆効果なのだとか。 なぜなら感情というものは、押さえつければ押さえつけるほど、どんどん強まってしまう性質を持っているからです。 (中略)心の奥に閉じ込めようとすればするほど、余計その感情にとらわれてしまい、いつまでたってもモヤモヤとした気持ちを忘れることができなくなってしまうのです。 (『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』4~5ページ) そこで大野さんが本書で紹介するのは、ネガティブな感情をうまくきりかえ、次に向けて行動するための「1ステップ」です。
感情にしがみつかず、視点を変えてみる
本書では、10章にわたって「不安や緊張、怒り、悲しみ、悔しさ、怖れ、恥ずかしさ」などの対処法を46個紹介していますが、今回はそのなかから3つのきりかえ術を紹介します。 1. 夜、眠れないときは…→部屋を明るくして、起き上がる 「早く寝なければ」と思うほど、余計に眠れなくなってしまう…。きっと誰もが経験していると思います。 そんなとき、「すべきことはただ1つ、無理に眠らないこと」と大野さん。眠れないなら「眠らない」という選択をするほうが、心が落ち着くこともある…。これも経験済みの人は多いはず。 まずは部屋を明るくして気持ちを一度リセットします。そのうえで、眠気を誘うミルクやチーズ、豆乳などからタンパク質を摂るのがいいそうです。 2. PC作業に集中できないときは…→パソコンの画面を暗くする むしろ、部屋の照明を明るくしたり、まぶしいぐらいの窓際に移動するほうが、気分転換になるのではないでしょうか。 実はこれらの行為は、集中力を高めたい人にはNGです。なぜなら、明るすぎる環境はイライラや緊張を引き起こす上、気持ちが散漫になるため、単純作業の大敵になるからです。 集中したいからといって、必要以上に明るさを求める必要はありません。 (『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』50~51ページ) 集中したいときは、部屋のカーテンを閉める、窓際に寄らない、パソコン画面の光度を落とすといった1ステップが有効です。 3. 失敗できないと緊張したときは…→階段を上り下りする 緊張すると、無意識に体のいろんな部位に力が入り、自律神経が乱れ、ますます緊張する…という悪循環が生まれてしまいます。 プレゼンなどの緊張を伴う機会では、ぎりぎりまで資料を読みたくなる気持ちもわかりますが、階段を上り下りして全身に刺激を与えることが効果的だそうです。 そのときぜひやってほしいのは「成功するイメージを繰り返して頭に思い浮かべること」です。思考と行動は連動しているため、「良いイメージを思い浮かべておくこと」が、その後の結果に大きく影響を与えます。 (『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』22ページ) この思考術は、「失敗してはいけない」と緊張したときだけでなく、日ごろから活用しておいたほうがいいとか。 たとえば、プレゼンがうまくいって、周囲からほめられたり、大きな仕事を任されたり…といった具体的な成功イメージを「1日1回でもいいから抱いておくといい」と大野さん。 そうすることで、脳は「成功するのが当たり前」と認識し、いざというときにも緊張がやわらぐのだそうです。 「だめだ、できない!」と目の前のことにしがみつくよりも、ちょっと視点を変えてみることのほうが功を奏す。このことを経験としてわかっていても、プロのカウンセラーの言葉で語られると、やはり説得力が増しますね。 本書を参考にするもよし、自分なりのきりかえ術を磨くもよし。2023年はネガティブな思考をいかにやわらげるかを工夫することも、目標の1つに掲げてみませんか? ──2022年12月16日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 執筆: ライフハッカー・ジャパン編集部 Source: 扶桑社
ライフハッカー・ジャパン編集部