暗号資産「推進しないと日本は時代遅れに」 SBI北尾氏が語る金融デジタル変革の可能性
アメリカのトランプ政権の発足で、今まで以上の激動が予想される2025年の経済。金融業界の重鎮であるSBIホールディングスの北尾吉孝代表取締役会長兼社長に、思う存分、展望を語ってもらった。AERA 2025年1月13日号より。 【写真】SBI証券の社長はこちら * * * ──2025年は、さっそくトランプ氏が米大統領の座に返り咲きます 「僕はトランプ氏が勝つだろうと予測していた。それぐらい、民主党政権は国民の生活を豊かにできなかった。貧富の差は拡大するし、不法移民で治安も悪化するし、国民の不満は非常に大きくなっていたのではないかと思う」 「トランプ政権が、2期目ということで、ある程度どういうやり方をするのかは見当がつく。ただ見当がつかない要素が一つある。それはイーロン・マスク氏と手を繋いだことだ。(政府効率化省で歳出削減を主導する)マスク氏は、ある意味トランプ氏以上に大改革をもたらす可能性があると思っている。例えば、行政改革、構造改革、規制緩和といった面で、彼自身の新しいアイデアが次々出てくるんじゃないか。行政改革をどんどんやり、政府の財政は、無駄を全部排除するという方向にいくんだろうと思います」 「トランプ氏は(減税など)大盤振る舞いをしようとしているが、マスク氏とタッグを組んだことで、大幅に財政が削減される可能性があれば、アメリカにとっては非常に良いこと。彼(マスク氏)はおそらく大変な天才なんだろうと思う。EV(電気自動車)だけではなく、宇宙の分野でも、再利用が可能なロケットを作った。政府ができないことを、民間の企業としてやりあげるような天才。これからどういう手を打ってくるのか、そういう意味で本当に楽しみだ」 ──世界経済に与える影響は 「トランプ氏は、中国に対して最大60%の関税をかけるなどとすでに話している。特に、AI革命が起こりつつある状況の中で、最先端のICチップについては、一切、中国にノウハウやIP(知的財産)が流れないようにしていこうとしている。その場合、中国はどうなるのか。これは、アメリカのみならず、世界に大きな影響を与えるところだ。不動産市場を中心に、中国経済はすでに非常に悪い。そういう中で、一種の社会不安とも思えるような状況が起きつつある。これは非常に心配している」