トロ・ロッソ・ホンダは来年トップ3争いに参戦できるのか?
ホンダにとって心強いのは、トロ・ロッソにはテクニカルディレクターのジェームス・キーをはじめとする優秀なスタッフが多数おり、限られた予算でも毎年戦闘力の高いマシンを開発することだ。 そうなると重要になってくるのは、ホンダのPUである。現時点でホンダのPUはメルセデス、フェラーリ、ルノーに次ぐ4番目。マニュファクチャラー間の差は公表されていないが、ルノーとの差は約27馬力と言われている。これが本当なら、シンガポールGPのPUエフェクトは10馬力=0.1秒と言われているので、仮にホンダPUの性能が来年もからわなかったとしても、今年の予選Q2で1分41秒826を出したカルロス・サインツは、ホンダPUでは1分42秒096となるため、Q2で11位だったジョリオン・パーマー(1分42秒107)よりも速く、Q3に進出できるポテンシャルはキープできていることになる。 だが、この集団にはマクラーレン、ウイリアムズ、フォース・インディア、ルノー、ハースらがひしめき合うことが予想され、トップ4を逃せば、たちまち9位にも転落するほど、激しい戦いが繰り広げられるだろう。 さらに問題なのは、シンガポールGPでQ3に進出したサインツは、2018年にルノーへ移籍することが決定していること。現在の候補は、サインツのチームメートのダニール・クビアト、2016年のGP2王者でレッドブル育成ドライバーのピエール・ガスリー、スーパーライセンス取得が条件になるがホンダ育成ドライバーの松下信治も候補のひとりだ。だが、この3人だけでは激しい第二集団を戦い抜くのは厳しい。 車体やPUの開発よりも来年のトロ・ロッソ・ホンダにとって重要になってくるのは、もしかしたら、そのマシンに乗るドライバーになるかもしれない。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)