香南市夜須町の長谷寺の仁王像が修復終了 約4年ぶりに元の山門へ【高知】
RKC高知放送
老朽化のため4年間にわたって修復が続けられていた、高知県香南市夜須町にある寺の仁王像2体の作業が終わり、約4年ぶりに元の山門に安置されました。 修復作業が行われていたのは、香南市夜須町の山あい、羽尾地区にある長谷寺山門の一対の仁王像です。再び元の場所に安置する作業は、地域外からの助っ人の手も借りて10月21日、22日の2日間にかけて進められました。 修復作業が始まったのは4年前。仁王像は、2体とも長年の雨や風で塗りがはげ全体が激しく傷んでいたため、この地区に移り住んだ仏師・吉田安成さんが車で10分ほどの工房に運んで本格的な解体修復作業を行なっていたものです。 像を解体した際に中から出てきた銘札と呼ばれる木の札により、今から300年以上前の宝永4年に「院卓」という仏師が修復したことがわかりました。また、大学の科学調査により、頭は鎌倉時代のヒノキで作られ体は江戸時代中期以降のクスノキで作られたものと、木の種類が違っていることがわかりました。 再び山門に安置する際には、湿気の影響をうけにくいようコンクリートや防水シートを使い、リニューアルされた台座の上に据え付けられた後、解体していた部分を1つ1つ慎重に組み上げます。 今回の修復の経費をまかなうには、檀家による寄進だけでは足りませんでした。 ■長谷寺 竹井玄要 住職 「南は沖縄から北は北海道、813人から募金が寄せられた」 檀家からの寄進と全国の募金を合わせると2100万円余り。その内訳などを記した巻物と、地元夜須町の児童が描いた絵や未来へのメッセージなども像の体の中に一緒におさめ、後世に残します。最後に頭部や飾り付けなど分解してあったパーツを1つ1つ取り付けていきました。 ■仏師 吉田安成さん 「地域の仏像を修理して守って、次の世代にバトンタッチするお手伝いができて良かった」 ■長谷寺 竹井玄要 住職 「山の生活は厳しい中で1つのよりどころは仏様、その思いがあるからみんなが待ち望んでいた。安心した、おかえりなさい」 過疎化の進む山の集落の希望をのせ、修復作業の済んだ高さ2メートル15センチの2体の仁王像は、11月4日に地元の檀家や香南市役所の関係者ら約100人が集まって開眼法要を行い、お披露目されることになっています。