【40代、50代・薬と上手に付き合う方法②】処方薬は家族であっても共用しないで! 薬の正しい扱い方Q&A
Q3:処方箋の薬は家族となら共有してもいい?
A:予期せぬ副作用があることも。共有はNGです。 風邪や皮膚のかゆみなど、家庭内で同じような症状があった場合、ほかの家族に処方された薬をもらって飲んだり、使用してしまうこと、意外とやっていないだろうか? 「薬の譲渡はNGです。処方薬は医師が一人一人の症状を診察して、最適な薬と量を処方します。同じような症状であっても、原因が違う場合があります。また、同じ子ども同士であっても年齢の違い、子どもと大人、男女差や体格の違いなどで飲む量も変わってきます。 他人の薬を飲むことで、かえって具合が悪くなる場合もあります。症状の重篤化につながるリスクを避けるため、薬の譲渡は行ってはいけません。 また、薬による健康被害(予期しない副作用など)を受けた場合、通常は公的なセーフティネットが設けられています。しかし、仮に薬に不備があっても、譲渡された薬だと薬の健康被害の対象外になります」
Q4:処方箋の有効期限はありますか?
A:医師から処方されて4日以内と決められています。 病院で処方箋を出してもらったものの、すぐに薬局に行けず、そのまま日にちが経ってしまった経験はないだろうか? 「処方薬は処方箋が出されてから、発行日を含めて4日以内に購入するように決められています。これには休日や祝日も含まれます。ただし、長期の旅行など特殊な事情がある場合は、医師に相談のうえ、処方箋の期限を引き延ばしてもらうことも可能です。 期限を過ぎたらその処方箋は無効となり、調剤薬局で薬を出してもらうことはできません。その場合はもう一度、病院に行って再発行してもらう必要があります。その再発行分の処方箋発行代は保険が適用されず、自費になります。 期限が設けられている理由は定かではありませんが、医師の診断から時間が経つと、症状が変わっている可能性があります。そうすると、その薬を服用しても適切な効果が得られないことがあるためと考えられています」
Q5:薬はどのように捨てるのが正解?
A:出してくれた調剤薬局で処分してもらうこともできます。 処方された薬を飲み忘れたり、症状が治ったので飲み切らずに余らせてしまったことはないだろうか? なんとなく捨てにくいと思う人も少なくないだろう。 「こうした薬のことを『残薬』といいます。これらを処分する場合は、錠剤は封筒に入れ、軟膏などは紙に包み、目薬などの液剤は新聞紙や布に吸収させて、それぞれ可燃ごみへ(各自治体の分別方法に従ってください)。 ただし注射針など血液がつくようなものは、医療廃棄物となるのでそのまま捨てることはできません。病院に返却してください。 また、処分方法がわからない、処分に困るような場合は、処方された調剤薬局に持ち込んで処分してもらうこともできます。まずは相談を!」
【教えてくれたのは】 鈴木素邦さん 薬剤師。経営学修士(MBA)。「クラヤコンサルティング」代表取締役。城西大学薬学部非常勤講師。東京大学や慶応義塾大学などの教壇に立ち、多くの薬剤師を世に送り出す。薬局薬剤師の経験、多くの薬剤師を輩出した経験をもとに、お客様第一の薬局になれるような薬局向け経営コンサルティングを行う。研修講師としても、薬局経営者向け中心に講座を実施している。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)など。 イラスト/いいあい 取材・原文/山村浩子