隣に座る「トナラ―」より迷惑? 満員電車で放屁する「オナラ―」という現代の闇
海外の飛行機のトラブル
飛行機のなかは、ある意味電車以上に放屁トラブルが起きやすいところである。 気圧の関係でガスが出やすい環境にあるからだ。自由に窓を開けることができない密閉空間であるために、コロナ禍に飛行機内の空気は3分で入れ替わると学んだ今でも、周囲の乗客の精神的なストレスが大きくなりやすい。 2018年には、オランダの格安航空会社であるトランスアビア航空のドバイ発アムステルダム行の便が、オナラー問題でウィーンに緊急着陸した。明らかに放屁がひどい男性の両隣にいた男性たちがそれを止めるように頼んだが、 「本人が拒否」 したために騒ぎになった。両隣の男性たちが攻撃的だったという判断で、その両隣の男性たちが飛行機から降ろされてしまった。また同じ列の女性ふたりは部外者だったのにも関わらず巻き添えで降ろされてしまった。 2024年には、米国アリゾナ州フェニックスからテキサス州オースティンへ向かうアメリカン航空で、トラブルがあった。飛行機に搭乗後に独り言で文句を言っていた男性が 「では、この臭いはどうだ」 などといって放屁し続けた。その後、周囲の客といい合いしていたこともあってか、飛行機は滑走路に向かって走行していたが、ゲートに戻ってその男性客を降ろしたので遅延することになった。 飛行中の悪臭は、多くの航空会社で実際に降ろされる理由となる。ウエストジェットとエア・カナダなど、「不快な臭い」のある乗客の搭乗を禁止しているところもある。
オナラ―問題と消臭技術の未来
多くの航空会社では対策もしていて、空調に 「木炭フィルター」 など、消臭効果を持たせている。機内食は、 「炭水化物が多めで食物繊維が少なめ」 というバランスで、消化を落ち着かせていると言う。おならの臭いを心配する人は、臭いをほぼ100%吸収するという木炭入りの下着などを手に入れるのもひとつだろう。 しかしいろいろ他人に気を遣うのも大変ではある。最近の調査では、英国人の13%が、 「公共の場での放屁は当たり前であるべき」 「通行人から嫌悪感を抱かれずに公共の場でおならをしたい」 と望んでいることがわかった(2022年9月22日付『デイリー・スター』)。 そんな時代が来るのかわからないが、消臭防音が完全にできるようなものができれば、可能になるのかもしれない。
鳴海汐(国際比較ライター)