「春は抜け毛の季節」はウソ? AGAや新生活のストレスの場合も…治療時の“初期脱毛”についても医師が解説
■「春の抜け毛」が原因でAGAが発覚、「放っておくとどんどん進行してしまいます」
先生によると、この春もし抜け毛が気になる場合は、以下のような対処法もあるという。 「栄養不足だと、毛が生えづらい状況が起こります。特に鉄分やビオチン、亜鉛は大切なのですが、鉄分はほうれん草やレバーなどの食材から、摂取しづらいビオチンや亜鉛はサプリメントで補うこともできます。ほかに、海藻などに含まれるミネラルも摂れるといいと思います。タンパク質は髪の毛を作るのに必要不可欠ですが、脂肪分・カロリーの高い食事は避けた方が良いでしょう」 ほかにも、自分に合ったシャンプーを使い頭皮に炎症を起こさせない、毛穴の汚れを除去する…など、一般的に言われていることは色々ある。 「ただ、生活スタイルや食生活での改善で様子を見るより、気になった時には専門医に診てもらう、というのがもっとも効率が良いでしょうね。自分の抜け毛が季節性のものなのか、他の疾患からなのか、それともAGAなのか。まず、その診断を受けるのが良いと思います。AGAである場合は放っておくとどんどん進行してしまいますが、処方薬で予防や改善が期待できます。実際、『春に抜け毛が増えた』と受診する方の中にも、『実は前々から薄毛が気になっていて…』と告白される方もいます。受診がきっかけで、本当はAGAであったと発覚することもあるんです」 ■結婚式や入学、入社、転職…、すぐに“結果”が出るわけではないAGA治療、始めるべき時期は? しかし、AGAの治療をしても、すぐに毛が生えるわけではないので注意が必要だ。 「大体、変化を実感するまでに4~5ヵ月かかります。なので、もし『この時期までになんとかしたい』という目標があるのであれば、半年でギリギリ、できれば1年前から治療を始めることをおすすめしています」 実際、「結婚式までに薄毛をなんとかしたい!」と、クリニックに駆け込む人もいるとのこと。ただ前述のとおり、1週間や2週間で毛の様子が変わるものではないし、治療開始当初には「初期脱毛」が出る場合もある。これはAGA治療薬の服用後、2週間から1ヵ月あたりに起こりやすく、2ヵ月程度で収まることが多いという。初期脱毛は副作用ではなく、薬が力を発揮している証拠。とはいえ、もし初期脱毛期が結婚式に当たってしまったら、目も当てられない。 「治療も、前もって計画することをおすすめします」と先生。1年前から治療を開始する必要があるのであれば、残念ながらこの春、そして今年1年は我慢の時になるかもしれない。だが、次の春に入学、入社、転職、就職活動、結婚など、転機や新たな出会い、人生のイベントが待っているのなら、今まさに一歩を踏み出す時期なのかも。新環境下で薄毛を気にして、さらにストレスを溜めこんでは髪の毛にいいわけがない。正しい知識を知り、専門家の手にゆだねるのが一番良さそうだ。 宋 有奈(そんゆな) 獨協医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院に勤務し、形成外科・レーザーを中心とした診療を行う。現在はクリニックフォアで皮膚科、形成外科の質の高いプライマリーケアの実践を行っている。 (文:衣輪晋一)