アッズーリが敵地でベルギーに0ー1勝利。トップ下のバレッラが「それぞれ局面に“プラス1”の優位性を作り出したという意味で、先制ゴールの真の立役者」【現地発コラム】
EURO2024での嫌な記憶を過去に追いやって、ポジティブに未来を見つめるうえでも…
ベルギーのドメニコ・テデスコ監督は、ケビン・デ・ブライネ、ジェレミー・ドク、シャルル・デ・ケテラーレ、マリック・フォファナ(+招集拒否のティボー・クルトワ)を欠く苦しい陣容ということもあってか、立ち上がりは5バックの守備的な布陣で受けに回る慎重な姿勢を選んだ。しかし結果的にこの選択は、ボールを握ってゲームを支配したいイタリアを助け、勢いに乗せるというマイナスの効果しかもたらさなかった。 イタリアは後方からのビルドアップの過程で、サイドのCB、ウイングバック、インサイドハーフが流動的にポジションを入れ替えながらパスをつなぐことでベルギーに守備の基準点を与えず、容易にフリーマンを作り出して敵陣までボールを運ぶことができていた。 WBのカンビアーソやディマルコが中に入り込んでMFとして振る舞ったり、サイドCBのディ・ロレンツォやバストーニが敵陣まで進出して最終ラインの攻略に絡むことは、今や当たり前になっている。上で見た通り、先制ゴールの場面でも、ベルギーをペナルティーエリア手前まで押し込んだ後に、ディ・ロレンツォがバレッラとのワンツーで裏に抜け出してトナーリにアシストを送り込んでいる。 そのままイタリアが主導権を握って進んだ試合は、30分を回ったあたりからようやくベルギーが押し返す場面が見られるようになったものの、決定機らしい決定機は作れないまま。後半はイタリアが54分、55分に訪れた大きな決定機を決め切れず、60分を回ってからは攻めるしかないベルギーが徐々に攻勢に立つ展開となった。 しかしイタリアはCBブオンジョルノがナポリのチームメイト、CFロメル・ルカクとのデュエルで健闘。2度ほど与えた決定機も厳しい当たりでフリーでのシュートを許さず、ベルギーに最後の一線を超えさせなかった。 逆にイタリアはカウンターから2度チャンスを得たものの、途中交代で入ったモイゼ・ケーンがいずれもシュートのタイミングを逃して決め切れず。ほぼ一方的に耐え忍ぶ展開になったラスト10分も決定機らしい決定機を許さず、1点のリードを守り切った。 ここまでの4試合と比べて、内容的にはやや精彩を欠く部分があったものの、9月のネーションズリーグ開始時から一貫して取り組んできた「インテルモデル」の3ー5ー1ー1が、イタリアの新たなアイデンティティーとしてしっかりと根付いて来たことは確か。この試合も、何度か作り出した決定機をレテギ、ディ・ロレンツォ、ケーンらが決めていれば、終盤を耐え忍ぶ展開にはならなかったはずだ。 これでネーションズリーグのグループフェーズは残り1試合。17日にミラノで行なわれる最終節で、2位フランスとの直接対決に3点差以上で負けない限り、グループ首位での勝ち上がりが決まる。 3月に行なわれるノックアウトステージ準々決勝は、リーグAの4グループの首位と2位がたすき掛けで当たるドロー(11月22日に抽選会を実施)となっているため、他の3グループで首位を走るポルトガル、ドイツ、スペインという強豪との対戦を避けるためにも、1位突破は重要だ。2024年の代表最終戦でもあり、EURO2024での嫌な記憶を過去に追いやって、ポジティブに未来を見つめるうえでも、有終の美を飾りたいところである。 文●片野道郎
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