そりゃウォンも売られるわ…韓国の「腐敗ランキング」順位が当然の結果だった
韓国で前代未聞の政治混乱が起きたことで、経済へもマイナスの影響が広がっている。もはや誰が韓国の大統領になっても、政財界の癒着は続き、経済格差が拡大するといった見方すらある。韓国の政財界の癒着はどれほどなのか? 国際調査「腐敗認識指数」ランキングで確認してみよう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫) 【国際調査「腐敗認識指数」ランキング、韓国は何位?日本は?米国は?】 ● 進むウォン安、韓国経済の先行き不安 2024年12月、韓国の政治情勢に緊張が走った。3日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然、「非常戒厳」を宣言した。背景には、尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が関わったとされる複数の事件や、選挙に関する不正行為疑惑などがあったようだ。 その後、14日に韓国の国会は、「非常戒厳宣布は憲法違反」との判断から、「弾劾訴追案」を可決し、大統領は職務停止になった。こうした混乱によって、日米韓の関係や韓国の北朝鮮政策にも変化が出ている。地政学リスクの主たる要因である朝鮮半島情勢の緊迫化など、韓国の政治が不安定になると世界経済に無視できないマイナスの影響が出るだろう。 これまでも韓国では、大統領やその親族と財閥系企業トップなどの癒着が発覚するケースが多かった。ある意味それは、有力者同士が癒着する=縁故資本主義という、韓国の政治体制の象徴といえるかもしれない。 非常戒厳の宣布以降、政策運営が停滞する懸念から韓国経済の不透明感が高まっている。もはや誰が韓国の大統領になっても、政財界の癒着は続き、経済格差が拡大するといった見方もある。そうした見方が有力になると、韓国通貨ウォンの売り圧力は高まる。足元のウォン安はそうした懸念を表しているといえるだろう。
● 「腐敗認識指数」で見る韓国の縁故の状況 韓国では血縁あるいは同窓生など、特定の個人のつながりが政治、社会、経済の運営に無視できない影響を与えることが多い。近年の韓国映画には、公務員と企業の経営者が癒着した話、土地の売買などで不正に私腹を肥やすケースなどを描いたものが多い。 実際に文在寅(ムン・ジェイン)前政権下、一部の政府関係者による土地投機疑惑が明らかになり、支持率が低下する一因になった。文政権下では、経済では対中重視、安全保障は対米依存、外交では北朝鮮融和と対日強硬姿勢のスタンスだった。 検察出身の尹大統領は前政権の方針を修正し、日米との経済、安全保障関係を重視した。しかし、22年の大統領選挙で当選した後、金夫人のスキャンダル報道が相次ぎ、支持率は低下した。尹大統領は自らを守るため、野党の主要人物を拘束する非常戒厳に踏み切った。 韓国の政財界の癒着の状況を確認できるデータがある。国際的な非政府組織、トランスペアレンシー・インターナショナルが公表する、「腐敗認識指数」(Corruption Perceptions Index)だ。 各国の公務員と政治家がどの程度汚職しているか、縁故などの影響がどの程度か、その度合いを国際比較し順位付けしたものだ。23年のランキングはhttps://www.transparency.org/en/cpi/2023で見ることができる。 最も清潔な状態を意味する100から、最も腐敗していることを示す0までの範囲で採点されている。23年のランキングで1位(最も清潔)はデンマーク(90点、前年から変化なし)で、2位はフィンランド(87点)だった。 トップ10は欧州の国が多いが、5位にシンガポール(83点)がランクイン。日本は16位(73点)で、米国は24位(69点)。そして、韓国は32位(63点)であり、日米欧の主要先進国より低い。 このランキングから示唆されるのは、日米欧などと比べると、韓国では政治・経済の運営に与える特定個人の利害の影響度が高いことだ。それは、今回の非常戒厳にも当てはまるだろう。主要先進国の最高意思決定権者が、立場を守るために戒厳令を実行するのは前代未聞だ。しかし、韓国では実際にそれが起きた。