日本太鼓シニアコンクール 諏訪の松枝さんが女性初「名人位」の快挙 長野県
公益財団法人日本太鼓財団(東京都)技術委員長で1級公認指導員の松枝明美さん(60)=長野県諏訪市=が、11月に石川県で開かれた60歳以上対象の「第21回日本太鼓シニアコンクール」(同財団など主催)で最高賞の「名人位」を獲得し、内閣総理大臣賞を受けた。44年間積み重ねてきた技術の高さを評価され、女性初の快挙。「人生の一つの節目の年。達成感と喜びはひとしお」と笑顔を見せ、太鼓の普及と伝統継承を願う。 松枝さんは高校時代、会員を募っていた御諏訪太鼓保存会(岡谷市)に入門。「太鼓の響きは心臓の鼓動に似て落ち着く。演奏も指導も妥協をしたくない」と夢中で取り組み、1997年に女性で初めて同財団1級公認指導員の資格を取得した。2020年には諏訪市で「和太鼓すわびと」を発足。現在も国内外で講習会の講師や試験の検定員、大会審査員などを務める。 同コンクールは石川県内で毎年開き、今年は11月17日に小松市であった。全国から33個人・団体が出場し、審査は個人と団体の枠なく実施。松枝さんは「60歳になったら出場して、初の女性名人を目指したい」との思いを抱き続けていたといい、「太鼓を通じて自分らしさをどこまで表現できるか試す機会」と挑んだ。 コンクールでは、長年打ってきた複数の曲を自分なりに組み合わせ、制限時間の4分間にアレンジして演奏。長胴太鼓と締太鼓をさまざまなテンポで打ち鳴らし、荘厳な響きや迫力ある音色を披露した。観客目線での楽しさやバチさばきなども評価され、初出場で優勝。「自然体で納得のいく演奏ができた。自分なりのイメージをお客さんにも伝えられた」と振り返る。 今年7月には同財団技術委員長に就任し、第一線で日本太鼓の普及発展と指導者育成に当たる松枝さん。「若い人にも日本の伝統芸能に興味を持ってほしい」と期待し、今後については「まずは大役を全うし、後継者を育てながら指導に磨きをかける。体が続く限り各地を飛び回りたい」と力を込める。