2人に1人ががんの時代 治療費負担などによる悪影響「経済毒性」と戦う【WBSクロス】
2人に1人がかかるといわれている「がん」。がんの治療費などの負担が患者に悪影響を与えることを「経済毒性」と呼びます。お金を理由に治療をあきらめる人もいて、今、関心が高まっています。この「経済毒性」を減らそうという動きが広がっています。 静岡県にある「浜松医療センター」。この日、病院を訪れたのは1年前に肺がんが再発した鈴木さん(仮名)。パートで毎月10万円ほどの収入を得ていました。高額療養費制度を使っても、治療費は毎月4万円を超えます。 「治療費が心配で払えない。『治療しない』と先生に言った」(鈴木さん) がんの進行と同時に金銭面の不安も鈴木さんを苦しめました。 病気としてのがんの影響に加えて、治療費の負担や収入を失うことで患者やその家族に悪影響を与えることを「経済毒性」と呼びます。調査では、がん患者のおよそ9割が経済的な不安を抱えています。 ファイナンシャルプランナーの黒田ちはるさんはがん患者に特化したアドバイスを行っています。この日の相談者は夫ががんと診断された女性。住宅ローンの支払いができなくなり、今年家を売りました。 「家賃はどれくらいになりました」(黒田さん) 「7万6000円です」(相談者) 「もともと言っていたものよりも抑えられた」(黒田さん) 「抑えました」(相談者) 治療以外の支出から削れるものを洗い出します。 実は黒田さんは元看護師。患者の経済毒性を目の当たりにし、FPに転身しました。 「半年後、1年後、このまま治療が続けられると分かったり、半年後の子供の教育費が払えるという見通しが立つと本当に顔が明るくなる」(黒田さん) 経済毒性を減らすために欠かせないのは、治療と仕事の両立です。浜松医療センターではその支援に力を入れています。 「がんと言われたときにびっくりして、仕事を辞めてしまう方がいるので、とにかく診断された最初に仕事を辞めないことがすごく大事」(「浜松医療センター」腫瘍内科・呼吸器内科の小澤雄一医師)