クマよけに「ハニカム構造」 長久さん(富山県高岡市)ら研究、木枠試作し南砺で実証実験
富山県高岡市駅南のながひさ歯科クリニック院長で、ケイ・クリスタル研究所代表の長久巧一さん(77)らは、蜂の巣のように図形を隙間なく並べる「ハニカム構造」を活用したクマの撃退グッズの開発に取り組んでいる。試作品は格子状の木枠で、地面に置いて使う。クマが木枠を嫌って人里に降りてこなくなる効果を狙っており、実用化に向けて南砺市で実証実験を行っている。 長久さんのほか、南砺市土生(福光)の波多巌木工所の丸山清司社長(44)、波多雅一代表取締役(59)、県新世紀産業機構の溝口正人さんが開発に携わる。 長久さんは約30年前から雪について研究し、ハニカム構造を活用した人工ゲレンデの開設に力を注いだ。その中で、犬がハニカム構造のくぼみの上を歩くのを嫌がることを知り、害獣対策にも生かせると考えた。 波多巌木工所では昨年、敷地内にクマが出没。資材置き場などに監視カメラを設置したところ、クルミを食べる様子が映っており、対策が急務となっていた。
長久さんは今年6月、親交のあった溝口さんから同社を紹介してもらい、撃退グッズの開発に着手。同社が間伐材の県産スギで木枠を試作し、8月から敷地内に仕掛けている。クマの冬眠期は撤去する。 長久さんは傾斜のある山間地でも仕掛けやすいことなど利点を挙げ「林業などで頑張る人の助けになりたい」と語る。丸山さんは「クマによる人身被害防止に貢献できればいい」と話した。