安納サオリは「華やかに見えて古風なレスラー」里村明衣子が贈った称賛、ビッグマッチで引き出された“不屈”感…試合後“握手拒否”の理由とは?
引き出された、安納の“不屈”感
得意技のデスバレーボムで投げられ、フィニッシュは最上級の必殺技スコーピオライジング。相手のヒザを踏み台にした高角度のカカト落としだ。1発目の当たりが浅いと見るや、すかさず2発目を打ち込んできた。どこまでも隙がなかった。 「だけど、ただ強いだけじゃなく懐の深さも感じました」と安納。 「相手の攻撃から逃げない。全部受けた上で勝つという闘い方なんですよ。みんなが憧れる里村明衣子ってこれなんだって」 猛攻に耐え、いつもは多用しないグラウンドで攻め込む安納。必死の反撃で「私の“不屈”感が引き出された」と言う。不思議なことに、試合中の安納は苦痛に歪む表情や悲鳴さえも魅力になる。 「逆に里村さんも私の攻撃を受けきってからフィニッシュにもっていった。里村さんの“不屈”を感じました」 デビュー当時からずっと、安納のキャッチフレーズは“絶対不屈彼女”だ。芸能界からの挑戦だから、プロレスラーとしては亜流の出自。体も大きくない。そんな中で“不屈”であることが拠り所だった。
「尊敬します」里村が安納を讃えた理由
里村が安納との対戦を望んだのも、その部分が気になったからだという。試合前、安納について聞くとこう語ってくれた。 「引退までに仙女の選手、キャリアの近い選手だけでなく対戦したことのない相手ともやってみたいんです。未来を担う選手と。安納さんはフリーとして仙女のリングに上がって、自分の力でのし上がってきた。“絶対不屈”という言葉通りのものを感じますね。華やかに見えて、実際には精神力の選手、古風なタイプのレスラーなんじゃないかと思います」 試合後にはこう言って安納を讃えた。 「安納選手は、今の女子プロレスの象徴だと思ってます。今は強いだけじゃダメ、実力だけじゃダメ。きれいで可愛くて、広告塔になれる発信力があって、頭がいい。すべて揃ってるのが安納サオリです。フリーになって、いろいろな団体で名を高めてここまできた。尊敬します。今日は闘えて嬉しかったです」 安納にとってはこれ以上ないほど光栄な言葉だった。雲の上の存在が、自分のことを何年も見てくれていた。「プロレス界と世間の架け橋になりたい」という自分の気持ちも伝わっていた。 「ここまで、一つでも手を抜いたら今日のこの試合はなかった」
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