ホンダが新型EV「ホンダ0シリーズ」の次世代技術を公開 「CES」で新モデルを発表
「Thin, Light, and Wise」を実現する新技術の数々
本田技研工業は2024年10月9日、2026年の市場投入を予定している新世代電気自動車(EV)「Honda(ホンダ)0シリーズ」に取り入れる新技術を公開した。 【写真】「ホンダ0シリーズ」に取り入れられる革新技術を写真で紹介する(22枚) ホンダ0シリーズは、「Thin, Light, and Wise(薄く、軽く、賢く)」というアプローチのもとに開発が進められている、ホンダの新しいEV商品群であり、2026年より北米を皮切りにグローバル展開される予定となっている。2024年1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジー/IT見本市「CES」で、2台のコンセプトモデル「サルーン」「スペース ハブ」が発表されており、まずはこのサルーンに近い形のフラッグシップモデルを市場投入。2030年までに、小型から中大型モデルまで、グローバルで7車種を投入する計画となっている。 今回発表された新技術は、プラットフォームや電動パワートレインといったハードウエアの技術、運転支援システムや車両の姿勢制御、インフォテインメント/コネクテッドシステムに関わるデジタル技術、まったく新しいEVの量産を可能にする生産技術と、多岐にわたる。ホンダでは、これらの技術や電動化に向けた考え方を具現したものとして、ホンダ0シリーズの新たなモデルを2025年1月に開催されるCESで公開するとしている。 各技術の概要は、以下のとおり。
【車両技術:低全高と軽量化により運転の楽しさと高い電費性能を追求】
ホンダが大切にしてきた「M・M(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想」をEVにも踏襲し、低全高・ショートオーバーハングの独創的なデザインと、優れた居住性の両立を追求。さらに軽快な走りと世界トップクラスの電費性能も実現する。 ●新開発EV専用プラットフォーム 座席下の骨格などに2.0GPa級のホットスタンプ材(超高張力鋼板)を採用することで、薄く低全高なスタイリングと高い衝突安全性を両立する。また薄型のバッテリーパックや新開発の小型e-Axle、そしてホンダ独自の低床フロア技術により、重量物を低く、車両中心に配置することで、低重心、低慣性を実現。車両の挙動を安定させ、軽快な走りを追求する。 ●新開発 小型e-Axle ハイブリッド車の開発で培ったモーター/インバーター技術を活用し、小型で高効率なe-Axleを開発する。インバーターは一般的なEVより約40%小型化することで、従来はレイアウトが難しかった横型配置のパッケージを実現。低全高のスタイリングと居住空間の最大化に寄与する。また、e-Axleには180kWの高出力仕様に加え、50kWの小型・低出力仕様も用意。180kW仕様×2基の4WDや、50kW仕様をフロントに、180kW仕様をリアに搭載した4WD、180kW仕様をリアに搭載したRWDなど、さまざまな駆動システムのバリエーションを用意する。 ●薄型バッテリーパック バッテリーケースはメガキャストと3D摩擦攪拌(かくはん)接合(FSW)技術の採用により、一般的なEVより約6%の薄型化を実現する。また衝突時の加重を分散するボディー構造を用いることでバッテリーの衝突保護スペースを削減し、バッテリーの搭載可能面積を拡大。軽量・薄型化されたバッテリーパックを最大効率で搭載することにより、航続距離の拡大を実現する。さらに、ハイブリッド車を中心とする500万台以上の電動車の走行実績を活用した、バッテリー劣化の診断・予測技術により、10年後のバッテリー劣化率10%以下を目指す。 ●アクティブエアロダイナミクスシステム SUVなど、車高の高いクルマや空気抵抗の大きいデザインのクルマでも、車速などに応じてフロア下のフロントエアロディフレクターを作動させ、空気抵抗を低減。日常の使い勝手を損なうことなく走行エネルギーを低減させるとともに、高いダウンフォースの発生により直進安定性の向上を実現する。 ●新しいボディー剛性マネジメント 単純にボディー剛性を上げるのではなく、コーナリング時に車体をしならせる挙動を与え、タイヤへの荷重をコントロールする新たな操縦安全性指標を採用。軽快で気持ちのいい走りを追求するとともに、ボディー構造のシンプル化により従来比約100kgの軽量化も実現する。