マツコも驚愕……!じつはいま「スーパーマーケット」が激変していた、その「納得の理由」
大型店舗は利益を生むエンジンではなくなった
はじめに、小売業界トップ2社の利益構造を見ていきましょう。1位のセブン&アイ・ホールディングス(売上高 約11.47兆円)はコンビニエンスストア(セブンイレブン)、大手総合スーパー(イトーヨーカ堂、サンエー)、百貨店・専門店、金融関連事業を展開する大手総合流通持株会社。全体の売上の8割超がセブンイレブンであり、祖業のイトーヨーカドーの売上は10%を超える程度で、利益貢献はほとんどなし。アパレルを撤退させ、首都圏中心の食品特化型として変革が始まっています。 2位のイオン(売上高約9.55兆円)はイオンを純粋持株会社としながら、日本国内外のイオンモール、総合スーパー(イオン、マルエツ、ダイエー、カスミ、いなげやなど)、ドラッグストア、総合金融、ディベロッパー、サービス・専門店などの複合事業を運営。収益の軸となるのはディベロッパーや金融事業であり、イオンは複合商業施設の核店舗になっているものの、単体としての収益性は低く、数字的には足をひっぱる存在に。これらの状況から、昭和から平成にかけて一世を風靡した郊外型大規模総合スーパーが台頭する時代は終わりつつあることは容易に想像できるでしょう。
「ライフ」急成長の理由
2023年度における上場食品スーパーの決算状況を見ていくと、営業収益で業界1位に輝いたのは、ライフコーポレーション。首都圏・近畿圏にライフを中心に311店舗を展開する中型スーパーマーケットですが、この実績を聞くと、「ライフってたいして安くないよね?」と疑問を抱く人がいるでしょう。しかしながらライフは毎年右肩上がりで売上を伸ばし、1日の来店客数は100万人を超える好調ぶり。この成功の理由は、同質競争からの脱却を掲げ、独自性や新しい価値を提案する戦略を実行し、価格競争に巻き込まれないポジションを確立しつつあるからと言えます。そしてその成長の大きな柱となるのが、2016年からスタートさせた「BIO-RAL(ビオラル)」なのです。 ビオラルとは、ドイツ語の「BIOLOGISCH(有機の)」と英語の「NATURAL(自然)」を組み合わせた造語であり、素敵なナチュラルライフスタイルを通じて、心も体も健康で美しく、豊かな毎日を過ごしてもらいたい、という願いをもとに、オーガニック、ローカル、ヘルシー、サステナビリティをコンセプトにしたプライベートブランドであり、専門店舗を9店舗(2024年10月時点)にまで拡大しています。成功の要因は、これまで価格が高いイメージのあったオーガニック、ナチュラル商品をPBとして自社開発することによって価格面での敷居を下げたこと。直近4年間におけるビオラルPBの売上は約4倍(1684百万円→7035百万円)に成長、2030年までに売上高400億円を目指していると言います。 このようなライフの成功事例がきっかけとなり、新しい戦略を打ち出すスーパーが続々登場するように。それがまさに、“スーパー新業態”。ここからは、今注目したい新業態の事例を見ていくことにしましょう。