箱根駅伝Stories/試練の1年乗り越えた日体大・山崎丞 7年ぶりシードへ「他大学のエースと戦えるのは自分」
エースとしての走りを
さらに11月の全日本大学駅伝では、各校からエース級のスピードランナーがそろった2区で区間8位。首位でタスキを受けた順位を7つ落とす結果とはなったが、シード権が与えらえる8位に踏みとどまった。 「後ろから強いメンバーが来ることは想定できていました。気持ちを乱さずに自分のペースでしっかり刻むことができたと思うので、最低限の走りはできました」。3位までとは30秒差以内に抑える粘りによって、チームが終盤までシード争いを演じる要因となったことは間違いない。 12月1日の日体大長距離競技会10000mで、28分19秒33の自己新をマークし、状態も上向き。今回の箱根は2年分の想いをぶつける舞台となる。 新潟県糸魚川市出身。「地元は起伏が多くて、自然とアップダウンを走っていたので上りは得意」ということもあり、前回は5区出走を予定していた。 だが、今回は「他に5区を任せられる選手もいます。今季はしっかり練習が積めているので、2区を走りたいと思っています。2区で他大学のエースと戦えるのは自分しかないという自信もあります」と力強い。 序盤からある程度速いペースで入りつつ、中盤に権太坂、そして終盤に「戸塚の壁」と呼ばれる急坂がある難コースも、「自分に向いている」と捉えている。 「全日本も最初の1kmを2分42秒で入りました。同じような展開で入っていきつつ、余力を持って最後の上りで潰れずに、そこで1人でも抜いていく走りをイメージしています。どんな展開でも状況を読み取って、最適な走りをする判断はできるほうだと思っています」 チームは7年ぶりのシード権獲得にとどまらず、「総合6位」を目標に置く。そのためには山崎の“エース”としての走りが欠かせない。 やまざき・たすく/2003年4月29日生まれ。新潟県糸魚川市出身。新潟・糸魚川中→新潟・中越高。5000m13分52秒09、10000m28分19秒33、ハーフ1時間2分06秒
田中 葵/月刊陸上競技