無印良品の「冷凍食品」結局どれが売れているのか、「キンパ」だけじゃないこだわりの裏側
価格競争も激しい冷食市場では、安価な競合商品が多数存在する。その点「塩こうじからあげ」は240gで390円と激安ではない。それでも選ばれる理由について、日向さんは「『冷凍むね肉なのにぱさぱさ感がなく、冷めてもおいしい』ことが評価されている」とその強みを説明する。 無印の食品には”変わり種”が多いのも特徴のひとつに感じるが、実際、そう感じている人は多いのではないだろうか。冷凍食品についても同様で、「雲呑麺」「担々麺」などがそれにあたるかと思う。
普段、食卓に並びにくいメニューだが、実際に食してみて、手軽に本格的な味を体験できる商品だと感じた。冷凍食品というと、どうしても「手抜き料理」だと家族にも思われたりしがちだが、こうした凝ったメニューであればそう感じにくい。子どもと大人の両方に満足してもらえる味にもしているそうで、それは日々のメニューに悩む親、とくに母親のニーズに応えている。 ■冷凍総菜に対する抵抗感・罪悪感を軽減する工夫 「冷凍食品=手抜き」という、料理をする人が持つ罪悪感を払拭するのはなかなか簡単でないが、そうした消費者の心情にも、無印はアプローチしている。たとえば、10分以内で作れることを売りにした冷凍食品シリーズ「フライパンでつくるミールキット」シリーズがそれだ。
冷凍食品にはレンジであたためるだけ、という商品が多いが、このシリーズでは、あえて最後の仕上げは自分自身でするように設計されている。しかし、手作り感のために、消費者にわざわざフライパンを汚す手間をかけてもらうだけのメリットはあるのだろうか。聞くと、理由が2つあるという。 「まずこの商品は、味と食感の両面で、具材とソースを分けたほうがおいしくなるためです。もうひとつは、冷凍総菜を使うことへの罪悪感を払拭してもらいたいためです。フライパンでの加熱と、フライパンからお皿への盛りつけだけはご自身でやっていただく。このひと手間にも価値はあると考えました」と日向さんは語る。